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余談 裁判所は文書発行機関?

 裁判所自体は(執行官以外に)実力部隊を持たないというのは、意外に知られていない事実ではないでしょうか?執行官だって武器を持っている訳ではないですし、法廷や法廷以外の庁舎内・構内を警備している人だって法廷内・庁舎内・構内で実力行使できるだけで、(物理的施設という意味での)裁判所外ではからっきしです。
 なもんで、裁判所に訴えて勝てば、すぐにでもお金が手元に来ると思っている人が結構いるんですが、これは実は間違いなのです。あくまで自分で手続しなきゃならない。
 こうして考えると裁判所って実は文書発行機関ではないかと思うのです。この文書をしかるべき機関に示せば、見せられた機関が動いてくれるという、そういう文書な訳ですね。
 例えば民事訴訟で勝てば判決を記載した文書がもらえる。その文書を裁判所の執行部門に持っていけば、執行官が実力を行使して権利を実現したり、他の機関に対し、権利を実現するような手続をしてくれる。裁判所以外の他のしかるべき機関に持っていけば、その文書を根拠に今までできなかったことをやってくれる。
 刑事だと、令状請求が認められれば令状という名の文書がもらえて、実力行使ができるし、有罪判決が出れば判決書という文書がもらえて、それをもとに刑務所に入れるとか罰金をとるなどの実力行使ができる。こういう次第。
 裁判所は文書をくれるだけなので、その文書をしかるべきところに持っていって何かをしてもらうのは基本的に文書を請求した側の作業であることは覚えておいていい知識でしょう。


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