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インターミッション3

 さあ、ここまでたどりついたあなた。相手に何が法律上要求できるためには、契約か法律の規定が必要だということを、しっかり身につけたはずです。法律の調べ方もわかりましたし、どんな資料を調べればいいかもわかりました。確かに実戦経験はないかもしれません。しかし、そういう材料を駆使して、事実に対して法をあてはめ答えを出す方法論を身につけているはずです。
 あとは気になったことについて、法律学的な立場でも検討してみてください。
 さて、相手に何か要求することができなかった場合。中には国家権力の発動を求めることができることがあります。その1つが刑事罰の発動であり、もう1つが行政機関による行為の発動と言っていいでしょう。これから先これらを順に見ていくことにしますが、気を付けなければならない点がいくつかあります。
 まず第1にこれらの手続きは、民事法の分野ではかなえられなかった自分の要求を権力が代行するためのものではけっしてないということです。
 第2に仮に権力が動いたとしても、それは権力自身が動く必要があると判断したことによるものであって、その判断主体はあくまで権力自身であり、要求のある市民の側ではないのです。中には市民の要求を一定範囲で受け入れなければならない場合もあります。しかしそういう規定がなければ原則判断主体は権力自身であって、市民の要求を受け入れる義務はないことに注意しなければなりません。(この意味では「契約か法律によらなければ相手に要求できない」というのは権力にもあてはまるものなのです。)
 第3に刑事法や行政法の分野では、民事法の考え方がそのまま使える訳ではありません。民事法の発想をそのまま持ち込むのは誤りです。
 ではどんな考え方なのか。順次見ていくことにしましょう。


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