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刑事実体法

 刑事法の分野は結局「刑罰を科すか否か、科すとすればどのような手続で科すのか。」ということにつきます。刑罰を科すのは国家権力なので、刑事法は権力対市民の構造を持っています。
 そして刑事法をつらぬく大原則が「罪刑法定主義」と「法定手続の保障」なのです。
 まず「刑罰を科すか否か」の点。この点については「罪刑法定主義」が妥当します。
 罪刑法定主義というのは、第1に「何が犯罪になるか(要件)犯罪になった場合の刑(効果)の双方が法によって明確に定められていること」を意味します。
 これを詳しく見ていくと、まず何が犯罪になるかは法で明確に定めていなければなりません。法で明確にといっても、全てを法で明記することは原理的に不可能なのは民事法の説明で書いたとおりですが、一般人が「何が禁止されているか、何が禁止されていないか」を判断しようと思えば可能である程度には明確にしておかなければなりません。その程度にすら明確になっていないものは、当該刑罰規定そのものが憲法31条によって違憲無効とされます。
 またこの要請は、法で犯罪と定めていないものについては、刑罰を科されることがないという意味も持ちます。いくら憎むべき行為だと考えてもその行為を処罰する規定がなければ処罰はできません。
 さらに、犯罪になったとして、科される刑罰も一定の範囲に定めてないといけないということをも意味しています。
 以上見てきたことから、何が犯罪かを判断するためにはまず条文を探し出すことが必要です。条文が見つからないようでは、そもそもそれは犯罪にはならないのです。次に条文を見つけたら、次はその条文についての解説書と判例を見つけて、その意味を理解しなければなりません。いくら一般人が判断可能である必要があるとはいえ、法律の条文は例によって解説の必要のあるものが多いのですから、きちんとおさえておく必要があります。


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