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契約の解除
約束は守られなければなりません。
たぶんこう書けば異論がないところですし、契約は約束だというのも、ここまで読まれた方にはすんなり受け入れられているところでしょう。契約は基本的には守られなければなりませんし、契約を守らなくてもいい場合というのは限定的です。
そして契約を破る究極的な手段である「契約の解除」は、契約を守るよう手段を尽くして、その最後に認められるものです。
さて約束を相手が守らなかった場合、契約の解除は直ちにはできません。まず相手に対し、約束を守るよう要求しなければなりません。まあ、普通は期限を切って要求するでしょう。(そんなの無理だって期限を切るようなせこい真似はしないのが正解です。期限を切らなかったとみなされます。)そして相手が契約を守ることをあくまで待ちます。もっとも「10日の菊」のように、期限に遅れると全く意味をなさないためにその旨相手に知らせている場合には、さらに待つ必要がないため、直ちに解除できますし、そのような事情がなくとも当事者間の合意でそのように定めることも許されます。
相手がそれでも守らなかった場合、そこではじめて契約を解除することができます、その解除も当然解除の効果を発生させるのではありません。「解除する権利」が発生したにすぎませんから、それを行使すること、具体的には解除したことを相手方に通知して、ようやく解除の効果が発生するのです。
解除すれば、これから先契約を守る必要がなくなりますし、それまで契約を守ってなされたことももとに戻してもらえます。また契約がなされなかったがゆえに発生した損害を賠償してもらうことができます。
ところで、何をもって約束が守られなかったとするか。
気をつけなければならないのは、ささいな不足があったからといって契約の解除権が発生するわけではないという点です。ささいな不足と言えども不足は不足ですから、不足分を請求することはできますし、最後お金に換算して賠償させることもできます。しかし、その不足分が本当にささやかだと、解除するのは行き過ぎだとして解除権が否定されます。
また、もともと契約の内容にないようなことを言い出しても、当事者間にそういう契約があったということでもない限りは、契約でさだめていないのですから、それを守る必要がないのは当然ですし、守らなかったからといって契約の解除権が発生する訳ではないのも当然です。
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