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債権回収時まで守るべきこと
質権者は質物を預かる訳ですが、この場合他人の物を預かる時の善良な管理者の注意は払って預からなければなりません。いわゆる「善管注意義務」というものです。偽造した質札を質屋が見破ることができずに,質物を渡してしまい,質物の所有者から損害賠償請求を受けた事案で,「質物の価格−貸出金額」が損害にあたるとして質屋に賠償を命じた判決があります。(ちなみに質屋の場合,理由のいかんを問わず質物を失うと貸金の返還も受けられなくなるので,結局質物の価格の賠償を受けたのと同じことになります。)
また物を保存するのに必要な使用はできますが、その他の使用はできません。「物を保存するのに必要な使用」というのはなかなかピンときませんし、たいていの場合は使用することは保存にとって害となるのでしょうが、たとえばいい楽器というのは定期的に鳴らしておかないといい音がでないそうで、そうなると東京芸大の学生が通っていそうな上野の質屋さんでは、いい演奏家に質物として預かっている楽器を演奏してもらっても、これは保存のための使用になるのでしょう。(もっともこの質屋さんが本当にそうしているかどうかまでは調べていませんが。)
だめだと言っても、質権設定者の承諾があれば使用収益することはできます。一方承諾がないのに(保存のための使用を除く)使用収益をすれば質権設定者や債務者は質権の消滅請求ができますし、この請求が認められますと質権は消滅します。
債権質の場合には、上に加えて、質権設定が差押と同様の効力を持つと考えられるため、その債権の債権者である質権設定者に対する弁済ができなくなります。もし弁済しようとするなら供託をすることになります。
不動産質の場合、管理費用や不動産に由来する負担(税金等)は質権者の負担となります。
(2004.8.26改訂)
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