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4 責任の有無の判断

 犯罪が成立するか否かの最後の関門が責任の有無です。で、これは刑法学では幅広く論じられているところなのですが、ここではその詳細には一切触れないことにします。で、簡単に、期待可能性の問題としておさえることにしましょう。
 期待可能性とはなにかといえば、「犯罪になることを避けることが「期待」されているし、それが「可能」であったにもかかわらずに、犯罪になることをした。」ことを処罰の究極的な根拠として考え、そのような期待が不可能なのであれば責任がないとして犯罪に問わないとする考え方です。
 その中でも典型的に期待可能性がない場合として法が定めたのが刑法39条の「心神喪失」であり、刑法41条の「14歳未満(刑事未成年)」です。心神喪失というのは、何らかの理由で、自分の行為を自分で制御することができない状態のことで、犯罪になることを避けることも不可能であるから処罰することもできないとなります。またある一定の年齢にならなければまともな判断もできないのは言うまでもないでしょうから、その年齢に達してなければまともな判断ができないがゆえに、これまた犯罪になることを避けることも不可能となるので処罰することができないとなります。で、刑法では14歳という線をひいて、その年齢以下なら一律犯罪にはしないという扱いをしています。
 もう一つが、問題となる行為がなされた時点において犯罪になることを避けることが期待できない場合でして、これは個々の例に則して考えることになります。
 ちなみに、法学部などの試験で「何罪にあたるか?」という問題に答える場合には、責任の有無に属することが問題文から読みとれない場合には、特に責任の有無について論ずる必要はありません。違法性阻却事由の不存在も特に書く必要がないこととあわせると、結局出題意図が違法性や責任を問うもので、その旨問題文から読みとれるものでない限りは、構成要件に該当することを示して「何罪である」と答えればよいこととなります。

Advanced Study 期待可能性 へ

(2005.2.26改訂)

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