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質権の対象となる物

 売ることができない物は質権の対象にはできません(343条)。売ることができないような物だといざという時の優先弁済が期待できないので仕方ないでしょう。また、政策上の理由等で売ることができてもなお質権設定ができないものがあります(注)。それ以外ならなんでも質権の対象にできます。物以外の例えば権利でも質権をつけることができます。債権質において譲渡禁止特約があっても、質権者がその特約の存在を知らなければ(善意)質権は成立します。債権質の場合、質物たる債権の債務者が質権者であっても問題はありません。
 対象となる物によって条文が若干異なることから、その区別はしています。一番典型的なものは「カメラ・宝石・時計」などの動産で、「動産質」と呼んでいます。土地建物などの不動産の場合は「不動産質」、預金、火災保険金請求権などの債権や、株式、公社債等の権利の場合「権利質」、債権の場合特に「債権質」と呼びます。倉庫証券(預証券・質入証券・倉荷証券)・貨物引換証・船荷証券など、証券の取引がそのまま証券の指し示す商品の取引になるようなものについては、あくまで商品引渡請求権の取引と見て債権質と判断するのか、実態は商品そのものの取引と解されていることから動産質と判断するのかについて争いがあります。
注 質権設定ができないもの(なお抵当権の対象にはなる)
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