lufimia.netホームページへ
一般法律学講座 目次へ
演習1 NHK受信料に関するエトセトラ へ
こういう主張はいけません へ
そうか、ここはNHK擁護サイトだったのか(笑) へ
ルフィミアネットの本はこちら
騒動記
……NHK受信料問題で引用や出典明記を学ぶ
いろいろ考えてみると、言論を行う時のリンクって引用とか出典の明記のはずなのに、それがわかってないというコミュニケーション能力というかリテラシーの不足がおおもとの原因のような気もしてきたのだった……。
「論文の書き方」的な本はいくつもあるんでそれを見てほしいんだけど、私がなんで小難しいことをここで書くかというと、例えば泉忠司「文科系必修論文作成術」夏目書房p218〜のこういう記述によります。
「先人の研究はおおいに利用して構わないし、そうすべき。ただし、その人の費やした汗と涙にはきちんと敬意を払いましょうという暗黙の、というか、人間として当然のルールがある。それを破る者は、学問の世界そのものを侮辱しているということで、容赦なく、叩きのめされることになるだろう。(中略)要は、自分の意見か他人の意見かが読者にはっきりと伝わるよう、誠実に書いておけばいいのである。」
これを私が最初に頭に来た「呪文3回不退去罪」の事例に沿って説明しましょう。
刑法概論の概論の不退去罪の説明は、当時は
正当な理由がないのに人の住居・人の看守する邸宅・建造物・船舶に侵入することで成立します。また退去するよう求められたにもかかわらず正当な理由がないままこれらの場所から退去しなかった場合にも成立します。
3年以下の懲役、10万円以下の罰金。
未遂処罰あり。
だったと思います。(その後何回か改訂しているから定かではないけど……。余談だけど、こういう問題があるんで、インターネット上の情報を根拠にするのは危険な部分があります。)
で、仮に「NHKの集金人が来たからと言って「帰れ」という呪文を3回唱えると不退去罪が成立する」という主張をしたい時に
「http://www.lufimia.net/sub/keiho1/2060.htmによれば、不退去罪が「退去するよう求められたにもかかわらず正当な理由がないままこれらの場所から退去しなかった場合にも成立」するとされているので、NHKの集金人が来た時に3回帰れと言っても帰らなかったら不退去罪が成立します」
というような引用であれば、http://www.lufimia.net/sub/keiho1/2060.htmの作者が言っていることは「退去するよう求められたにもかかわらず正当な理由がないままこれらの場所から退去しなかった場合にも成立」ということだけで、NHKうんぬんは何も言っていないことがわかりますから、これは正当な引用であり出典の明記です。(もっともこれでも実は法律の議論としては欠陥品です。条文引用するなら、上の私の記述のような、「条文に解説を加えたもの」を引用するのではなく、まず条文そのものを引用すべきです。条文には著作権が成立しませんからどんどんやるべきだし、条文を引用すれば足りるところ、関係のない解説を加えたものを引用するのは誤り。)
だけど
「NHKの集金人が来た時に3回帰れと言っても帰らなかったら不退去罪が成立します。( http://www.lufimia.net/sub/keiho1/2060.htm )」
ならどうでしょう?これはあたかもhttp://www.lufimia.net/sub/keiho1/2060.htmがそういう主張をしているかのようですね。実際、ここを改訂して「そういう主張は誤り」とがっつり書いたら最終的にリンクを消したので、少なくともこういう表現をとった者がそう思わせたかったのは間違いないところです。
上記泉の記述は「ぱくりはやめろ」という、「他人の成果をあたかも自分の成果であることのようにすることへの批判」なのですが、その趣旨が「自分の意見か他人の意見かが読者にはっきりと伝わるよう、誠実に書いておけばいい」であるならば「他人の成果でないものをあたかも他人の成果であることのようにすること」でも「敬意を払ってない」「誠実さに欠ける」ことには全く変わらない以上、「学問の世界そのものを侮辱しているということで、容赦なく、叩きのめされる」と思います。
しかも、そのリンクがhttp://www.lufimia.net/sub/keiho1/2060.htmではなく、http://www.lufimia.net/sub/keiho1/2060だったら?
某反NHK受信料サイトがやって私を怒らせたことというのは、そういうことだった訳です。リンクが正確ではないから、結構人気のあるサイトみたいで1日10〜30回くらいのアクセスがあって、そのたびにエラーで余計なトラフィックが発生して……。しかもそのリンクを書いたのはサイトの主催者。1回でもチェックしていればミスであることがわかることなのに、それすらしていない誠実さに欠ける所業な訳。log見てそのサイトを見てみると……、なんと私が主張していないことをあたかも主張しているかのように引用している、さらに誠実さに欠けることをしていた訳です。
世の中には「リンクにも許可がいる」なんて主張をしている人もいるけれども、lufimia.netはこの点は従来からのwebの慣習に従い、リンクには許可が必要ないという立場です。それは上記泉の「先人の研究はおおいに利用して構わないし、そうすべき。」にも沿っているし。
「誤ったリンクを貼って余計なトラフィックを発生させるのはいかがなものか。また当該ページの必要部分は六法に載っていることだからそちらを使えばよいのではないか。」と抗議した結果、主催者側からは割と早期に謝罪が来て、誤ったリンク自体は補正されたのですが、別のコンテンツ利用の件については「有益な情報なので」と、ついぞ改めることなし。
敬意を払っていない・誠実さに欠けることをしておきながら改めることをしなかったので、私も闘争modeに入りました。
リンクには許可が必要ないって話をしましたが、一方でwebページの内容に変えるにあたって、リンクしてきたところの許可を、webページの製作者がとる必要もまたない訳ですね。これは何を意味するかというと、不適正な引用をしているのを発見した場合、それが不適正な引用であることを書くことによって反論ができるということなのです。これはwebならではの手法ですね。
それで、「NHKの集金人が来たからと言って「帰れ」という呪文を3回唱えると不退去罪が成立するという主張」が誤りであることを住居侵入罪のところで、最初はさりげなく、後には相当丁寧に、書くことにしました。なかなか最初は気づかなかったようなのですが、闘争modeに入って約1年。ついに某サイトはlufimia.netへのリンクを消すにいたったのです。
ところで、2004年にNHKの職員が不正を働いた、さらにその問題についてNHK自身が報道しなかった、そういうことで受信料の不払が激増したということがおきました。そうしたら、「こういう主張は誤り」と書いただけで、あたかも「NHKにとっての錦の御旗」としか読めない人がそういうリンクをはる例が増えてきたんですね。2005年には「法的手段に出る」なんてニュースが流れただけで、アクセス数が増えるとか。
こちとら法的な解析をしているのに、法的な議論じゃないところと並べられてもな〜。言い換えれば法律論という共通の土俵上の話なら、そのようにリンクしてもらったり、比較してもらったりしても、むしろ大歓迎だけど。(ごもっともだと思えば、それも取り入れてさらに詳細な記述にします。)もともと法律論じゃないところと並べるってえのは、やはり敬意を払っているとは言えないし、誠実さに欠けるんじゃないかなあ。
ところで、NHK受信料について「法的にはしょうがないから、法律論以外の話をしよう」とか「法的な議論はちょっと棚上げして、NHKの要否を考えよう」って主張のところでリンクされている場合って、割と正当な引用なり妥当な出典表記だったりするんです。そして私が「誠実さに欠ける」と怒ってしまうリンクって、たいてい「NHK受信料は違憲違法だ」って主張にこだわっている所なんですね。違憲とはっきり書くか、違憲であることを否定できないと控えめに書くかは別にして……。
これって相関関係があるんでしょうか?
……たぶんあるんでしょうね……(ここから先はそうか、ここはNHK擁護サイトだったのか(笑) へ)
lufimia.netホームページへ
一般法律学講座 目次へ
演習1 NHK受信料に関するエトセトラ へ
こういう主張はいけません へ
そうか、ここはNHK擁護サイトだったのか(笑) へ
ルフィミアネットの本はこちら