まずは「してはならない」という形の規定。禁止ですね。説明不要。
次に「しなければならない」という形の規定。これまた説明不要。
3番目が「してもよい・できる」という形の規定。これ間違える人が時々いるんですよ。「してもよい」というのは「しなくてもよい」ということ。どっちでもいいんです。いわば選択権を与えている訳。本来の権利というのはこの形なんです。
権利というのは行使してもいいし行使しなくてもいいのです。
行使するにあたってルールを守らなければならないのはまた別論。
4番目が「しなくてもよい」という形の規定。これまた「してもよい」のと同じこと。
……なんてことを書いたらfj.soc.lawで突っ込まれたね。「しなくてもよい」という規定は法律上あり得るのか……って。す、するどい。
確かに「してもよい」と「しなくてもよい」意味一緒ですわな……。片方だけで足りる……。
でも数は少ないけど実例はあるのですよ。
これどういう場合かというと、一般原則として何らかの義務を「……しなければならない」と定めますよね。その後で一定の場合にはその義務を免除してあげるとする。その場合の条項は一般原則の「しなければならない」を否定して「……しなくてもよい」とするのが自然ですからそのように定めることはあり得るのです。もっとも実際の例では「この限りではない」という表現を使うことの方が多いのですが……。
さて解題、
文語体で書かれた古い法令では「しなければならない」が「スベシ」、「してはならない」が「スルコトヲ得ス」、「してもよい・できる」が「スルコトヲ得」なんです。
ね、「得」でしょ?