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法律学のお作法

初級法学講座で読んでいてほしいところ

法令の引用の仕方

判例の引用の仕方

解説書等の引用の仕方


 これは実はテクニカルな話。

 法律学の研究者って過去から多くの方がおられる訳ですし、研究成果も残っております。また裁判所という機関が国家の強制力を背景に一定の判断も示しています。これらの資料を使わない主張って「それ法律学って言えるの?」ってことになりますわな。このあたり物理学と事情は一緒かもしれません。「……は間違っている」って叫ぶ人が結構いるけど、その多くが「間違いというのが間違い。本人がわかっていないだけ。」っていうのと同様。
 そこで気の利いた人なら過去の成果を引用して自論を組み上げるのですが、そこでろくな引用をしていない主張はそれだけで眉唾と考えていいでしょう。

 というのは、引用の仕方というのはだいたい確立していまして、それは法律学の文献を読んでいれば、自然に身につくものなのです。
 ……だってみんながみんな同じようにやっているんだから、嫌でもわかるでしょ。
 そうなるとそのことを守れていない主張って、

  1. そういう約束があることに気がつかない
  2. そういう約束があることに気を配らない
のいずれかですわな。気がつかないならやはり読解能力に難ありだし、後者なら「なんでわざわざそんなことするの?」でやはり何らかの偏りがある可能性大。

 こういう次第なのでお約束事を守ることって、説得力を高めることにもなるんだよ……というテクニカルなお話でした。

 ちなみに法律の条文や判決文はただ丸写ししている人がいるけど、これまた問題あり。
 なんで引用するかと言えば、自己の主張を補強するためですよね?そうすると補強になっていることを示すように引用するもんでしょう?読んでみて「それで?」ってしか思えない引用であれば、やはり主張自体妥当性を欠く場合が多いと言えます。


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