一番最初に戻る
基本形に戻る
ルフィミアネットの本はこちら

義務実行後の問題……目次

 これは「不良品だとあとでわかった時」どうするか?という問題しかありません。
 民法では「瑕疵担保責任」の問題と呼んでいます。
 理論的には結構難しいものがありますので、ここではきわめて単純に理解するにとどめておきましょう。
 広い意味で「担保責任」と言う場合には、不良品の類の他、他の人の権利がついている場合も含みます。それは例えばその物が他人の物であったとか、他人の抵当権がついていたとかがこれです。また数が足りないというのも含みます。200平方メートルの土地だと思って売買して実際に測量してみたら195平方メートルだったというのはこれですね。で、これらの担保責任と区別する意味で不良品だとあとでわかった場合の責任を特に「瑕疵担保責任」と呼びます。
 さて瑕疵担保責任も「期日に完全な履行がなされなかった」という点に着目すれば債務不履行の一形態だってことは言える訳です。だけど一般的な債務不履行は完全な履行でないことが客観的にも認識可能ですよね。実際にはその認識の差が紛争になるわけですが、期日には履行されなかったなどという事情は裁判官でも判断は可能な訳です。ところが不良品だったというは通常はぺんぎん屋にもわからない、お客は余計わからない、後になってはじめてわかる、いわば時限爆弾のような性格がある訳です。それを債務不履行と同じように扱っていいんだろうかというとそれはあまりにも売主に酷ではないか……と。そこで出てくるのが瑕疵担保責任の規定で、不良品だってことであればそのことだけで損害賠償と場合によっては解除を認めようじゃないか、その代わりそれを言えるのは不良品だってわかってから1年以内だよと……とりあえず解しておきましょうか。

 で、逆の言い方をすればそういう理由のない限り、いったん契約を結び、そのとおりに実現したのであれば、その後で契約をなかったことにして返品して返金してもらおうというのは法律上は通らないんだよ、ってことをおさえておく必要がありますし、もしそういう返品を受けてくれるところがあったとしても、それは法律上の義務ではなく、単なるサービスなんだよ……という訳です。

商法の特則

 商法が適用になる場合には、526条1項により目的物を受け取る際にチェックをいれる義務が発生します。そしてチェックをした結果数が足りないとか不良品だということを通知しないと、後で数が足りないとか不良品だと言っても解除や代金減額、損害賠償請求ができないとされます。また民法では見つけた時から1年以内でしたが商法ではチェックしても見つからないような類であっても6か月以内と短縮 されます。どちらも民法よりさらに早期決着をはかったものです。


ルフィミア
 よく通信販売で「お気にいらなければ到着後7日以内にご返品ください」なんてありますよね。これも単なるサービスなんですか?
まさと
 事例によって違うんで、当事者間で契約が成立したか否かを丁寧に検討して答を出すべきです。そういうふうに広告に書けばこれは申込の誘引には最低なるので、その後特に事情がなければ、「そこに書かれていることも含めて契約した」と解することになるでしょう。そうすれば単なるサービスではなく法的な義務になります。
ルフィミア
 これだと7日目までに発送すればいいんですか?
まさと
 結局これも「当事者間にどんな契約が成立したか」を考える問題に戻るんですね。
 まず日数計算については、特に定めがない限り民法等によりますから、「初日不算入」原則によって(午前0時00分00秒に発送したのでという場合を除き)初日は計算しません。ですから到着日自身はカウントしないと。ところが7日以内に発送すればいいのか、相手に届けなければならないのかというのは、これは上の表現だけではわからないんで、「当事者間でどう定めたか」「当事者間で定めがなければ常識的にはどうか」ってことになります。
 もっともたいていの業者は「到着日不算入で期限内発送」で処理しているんじゃないかな。
ルフィミア
 もし返品の規定を使う可能性もあれば、事前に確かめておく必要があるし、それは別に返品だけではないってことですね。
まさと
 はい。
一番最初に戻る
基本形に戻る
ルフィミアネットの本はこちら