質屋の仕事には2つのパターンがあります。1つは質権を設定してお金を融資するパターン。あくまで返済されることが前提です。利息が利益になります。もう1つはいわば古物商としてのパターン。中古の品物を安く買って高く売る。その差益が利益になります。
まずは融資の場合。
お客さんが持ってきた質物を鑑定して融資できる金額を決め、それで納得してもらえると、(初めての場合には、身分証明書で住所氏名等を確認した上で、)質物を預かり、質札とお金を渡します。納得してもらえない場合は融資はしませんが、その場合でも何かを払う必要はありません。鑑定をしているとは言えますが、鑑定料は無料です。
この時の融資できる金額は、実際には質物の市場価格や交換価値だけで決まるものではありません。お客さんが間違いなく返してくれるのであれば、利息分がまるまる利益になります。そうすればできるだけ多く貸した方が有利です。しかしもし返してくれなかった場合には、話は逆になります。質屋ではもし期限内に返済しなければ、流質契約に基づいて質物の所有権を取得します。そして自分で買おうと思っていた品でない限り、その質物を中古品として販売することになりますが、販売価格が最初に貸したお金や利息などに足りなくとも、その分を債務者に請求することが法律上できないため、最初に貸したお金こそが中古品のいわば仕入れ値になります。そうするとお金を返してくれず、質流れになりそうだと予想するなら、いわば仕入値である最初に貸したお金は、安ければ安いほどよいのです。ここに質屋の判断が入るのです。
もし3か月以内に元金も利息も払わなければ、流質契約に基づき質物の所有権は質屋に自動的に移ります。その代わり借主は元金も利息ももはや1円たりとも払う必要がないし、質屋から請求することもできません。質屋では基本的に「もうそろそろ期限ですよ」などという案内や催促はしないものですから、流したくないものの期限を忘れると大変なことになります。
一方買い取りの場合には、単純に鑑定し評価をして、それで良ければ買い取ることになります。その時の値段も売れる値段を想定して、そこから利益を最大にしつつ、なおかつお客さんが売るのを諦めるような値段にならないように提示することになります。そしてこれは質屋に限ったことではありません。物を仕入れてそれを販売して差額を利益にする商売共通のことです。
ちなみに質物をきちんと保管しなければならない質屋の義務に着目して、「ある種の高価品を保管してもらうため、質に入れて、使う時だけ請け出す。お金が必要な訳ではないから。借りる金額は少なければ少ないほど利息が安くなるのでよい。この場合の利息は実質保管料なので、貸倉庫とかより安かったり近くにあって便利なら元はとれている」って使い方があるそうです。
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