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公益質屋

 かつて、社会福祉事業の一環として市町村や社会福祉法人によって質屋を営業することが認められていました。これを公益質屋と言いました。(営業質屋は公益質屋に対する民間の質屋のことをも指しました。)
 営業質屋は民法の質権の規定の他、特別法の質屋営業法による規制を受けています。そこでは各種の規制を受ける代わり、民法で認められない流質契約を認めるなど有利な扱いもまた受けています。公益質屋は公益質屋法という特別法がさらに規制をしました。その代わり営業質屋よりお客に有利な規定とすることで社会福祉の向上に役立てようとしたのです。

 そこで営業質屋と比較した公益質屋の違いですが……。

利率が低い
 営業質屋より低めに設定されていました。入江雄吉「落語で読む経済学」PHP研究所1989年によると月3%となっています。
利息は半月単位計算
 営業質屋では数え月単位計算が伝統的に行われてきましたが、公益質屋では暦にしたがって半月単位で計算します。たとえば1月15日に借りて2月20日に返すと、数え月計算では2か月、暦にしたがった月単位計算でも2か月ですが、公益質屋の場合1か月半と計算します。
流質期限が1か月以上長い
 営業質屋では3か月ですが、公益質屋は最低4か月です。
流質しても公益質屋側に清算義務がある
 営業質屋の場合、質物を売って仮に利益が出たとしてもお客に返す必要がありません。公益質屋では質物については競争入札で売ることが要請され、さらにその代金から元金・利息を引いてのこりがあればお客に返す必要がありました。
 ですから厳格に言うと「流質」ではないとも言えるのです。

 しかし、社会福祉という点では他の方策もありますし、何より質屋の利用形態が変わり、質屋を利用する人が減ってきたことから、公益質屋も減少を続け、2000年6月に公益質屋法自体が廃止されました。

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