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fj.sci.law の投稿基準


いつも長文でごめんなさい。

fj.sci.lawは

「法律学上の諸論点について学術的議論を行う」

ニュースグループです。

ということで、毎度おなじみ「fj.sci.lawの投稿基準」です。



末尾にも書きましたが、

「fj.sci.lawでは、法律の問題について、

 法律学の枠組みの中で議論しようじゃないか。」

fj.sci.lawを法律学の議論を楽しく有益に行う場にしましょう。



fj.sci.lawとfj.soc.lawの違いがわからないとか

ルールにのっとった議論ができないというのであれば

fj.sci.lawの購読はお勧めしませんし

それでも一向困らないと思います……。



……まさか読んでもいないニュースグループに投稿するの……?

  って思ってたらいきなり投稿する強者が最近多いそうで……。

  しかも非を指摘されても改めないとか……。



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fj.sci.law News groupを作る際、

提案者である佐々木将人@函館(cal@host.or.jp,cal@mix.or.jp)は、

CFD文書 <32E610EC.4F33@host.or.jp>の中で、

fj.sci.lawに投稿される記事の基準をいくつか示しました。

しかし、この基準についてわかりにくいという指摘があったため、

提案者が自ら解説を付したものがこの文書です。

投稿基準自体は権限のある者によってなされた公的な基準ではないことを

お断りしておきます。



この文書は改変しないかぎり、

複製、出版物への添付、転載が自由にできます。



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                     fj.sci.law の投稿基準

                      1999年7月4日版

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第0章 はじめに……fj.sci.law の定義とfj.sci.lawの投稿基準



日本語憲章 法律学上の諸論点について学術的議論を行う。

英文憲章  Study and discussion of/on legal issues.



投稿基準

1 具体的紛争の存在を前提とする相談的な投稿は推奨しない。

 (議論の進行にともない他のニュースグループから移行することは

  かまわない。)

2 fj.soc.lawや法に関連する他のニュースグループ

 (例fj.soc.copyright)とのクロスポストは推奨しない。

  クロスポストの必要な場合というのが想定しにくいが、

  仮に必要な場合にはFollowup-Toの指定を推奨する。

3 法律学における専門用語を説明なしに使用することが許容される。

4 法律学が前提としていることや自明としていることが、

   参加者(投稿者及び読者)においても前提・自明なものとして

   扱うことが許容される。

5 法律学の枠組みを承認しない投稿に応答しないことが許容される。





第1章 fj.soc.lawとどこが違うのか?



fj.soc.lawとfj.sci.law、とてもよく似たニュースグループです。

文字にしても1文字が違うだけ。

では、その違いはいったいどこにあるのでしょうか。



説明の前提としてfj.sci.lawの憲章を紹介しましょう。



「法律学上の諸論点について学術的議論を行う。」

「Study and discussion of/on legal issues.」



というのが憲章です。

特に「法律学上の諸論点」「学術的議論」の二つがキーワードになります。



実は法律に関わるニュースグループには、fj.sci.lawとfj.soc.lawの他にも、



・著作権法に関する議論を行う fj.soc.copyright

・人権、差別、生命倫理に関する議論を行う fj.soc.human-right

・男女差別の議論や男と女に関するトピックスを扱う fj.soc.men-women

・戦争と平和に関する話題を扱う fj.soc.war-and-peace

・政治をめぐるさまざまな話題を扱う fj.soc.politics

・インターネットにおける検閲について議論する

   fj.soc.internet.censorship



などなどいろいろあります。

これらは議論の対象に応じて分けられています。

議論の対象という点ではfj.soc.lawもfj.sci.lawも

それほどの差はありません。

どちらも法律を守備範囲にしています。



それならfj.sci.lawなんて不必要ではないか?

そういう疑問は当然です。

ここで先の憲章で特徴的だった

「法律学」「学術的」という二つの言葉について説明しましょう。



「法律学は本質的に受験勉強ではないか」

などと投稿した人も過去にはおりましたが、

世間一般で認められているように、法律学も社会科学の一分野です。

そして学問である以上、そこには一定のお約束というものが存在します。



一定のお約束その1は、

用語に特定の意味を持たせている場合があるということです。



例えば「善意」「悪意」という言葉があります。

法律学をかじったことのある人であれば、既におなじみのこの言葉。

「善意」とは単に事情を知らないこと、

「悪意」とは単に事情を知っていることです。

法律学を学んだ者同士では、

きっと何の注釈もなしにこの言葉を使うでしょう。



一定のお約束その2は、

文字通りのルールと呼べるものです。



例えばある法律と別のある法律とで、

一見して矛盾するような場合の解決方法です。

これについては、

「一般法と特別法とで矛盾が発生する場合には特別法が優先する」

「先に制定された法律と後で制定された法律とで矛盾が発生する場合には

 後で制定された法律が優先する」

というようにされています。



もしくは(用語の問題とも言えますが)ある条項の中で

「……である。ただし、……である。」という文があったら、

前半部を「本文」後半部を「ただし書」と呼んで、

本文が原則、ただし書を例外と解釈します。



また、結論が同じでも、根拠や論理過程が異なれば、別個に扱う

というのもルールの一つです。



一定のお約束その3は、

ある価値体系の承認です。



例えば法律学者の多くは論理学を承認し、

それにのっとった議論を行います。



また、法律学者の多くは、

法律が万能ではないと考え、法律の限界も知っていますが、

その上で、法律が一定の役割を果たすという考えも承認しています。



そうやって議論している時に

「これは事情を知らないだけのことで、善意とは言えないのではないか」

「これは事情を知っているかもしれないが,

  悪意とまでは言えないのではないか」

と一般的な意味で解釈して投稿したとすればどうなるでしょうか?

「結論が同じなら現実的には問題ないではないか、

 議論する実益があるのか。」

と不用意に投稿するとどうなるでしょうか。

論理学を無視して、

自分の感覚、感情を前面に押し出した投稿を行ったとしたら

どうなるでしょうか?

「法律学なんて何の役にも立つものか」

などと挑発的な投稿をするとどうなるでしょうか。



親切な人は丁寧に説明をしてくれるかもしれません。

「わかってないな」と判断されて、単に無視されるだけかもしれません。

時には「余計な口出しはするな」とばかり攻撃されるかもしれません。

いずれにしても議論の流れを止めることになりますし、

お互いに有益とはいえないでしょう。



ところが、

法律は普通の日本語で書かれていますし、

法律についての議論もまた普通の日本語で書かれています。

そうすると、一見すると普通の議論に見えるものですから、

そういうお約束事を知らないで反論することもあり得る訳です。

また、法律に関する議論は

すべからくこれら一定のお約束事の下でで行うべきだ

ということも言えません。



fj.soc.lawだけだと、同じ法律に関する議論でも、

これらお約束事に基づいてなされる議論と、

そうでない議論が渾然となって行われることになります。

中にはいわば確信犯的に議論を混乱させる人もいるでしょうが、

fjの参加者はけっしてそういう人ばかりではないと信じます。

ちょっとした勘違いを責め立てるのはいかがなものでしょうか。

むしろ、そういう勘違いを防ぐシステムを作るべきです。

ちょっとした勘違いからくる議論の混乱は、

一定のお約束事に基づいて議論を行うニュースグループを

別個に用意することで、

避け得ることではないでしょうか。



fj.sci.lawはそのためのニュースグループです。



fj.soc.lawは今までと変わりません。

法律や権利について、自由に議論することができます。

専門用語を使う人がいるかもしれませんが、

それを知っていることは必ずしも要求されません。



でも、fj.sci.lawでは、一定のお約束事を守って議論しましょう。

この一定のお約束事を表現したのが1から5までの各基準なのです。





第2章 投稿基準第1群……専門性の基準



基準3 法律学における専門用語を説明なしに使用することが許容される。

基準4 法律学が前提としていることや自明としていることが、

    参加者(投稿者及び読者)においても

    前提・自明なものとして扱うことが許容される。

基準5 法律学の枠組みを承認しない投稿に応答しないことが許容される。



これらの基準に、

「専門家しか投稿できない」とか

「専門家しか参加できない」

とは書かれていません。

法律が全ての人に関わるものである以上、

法律に関する議論には全ての人に参加する資格があると考えます。

ある意味では法律には「実務家」「研究者」はいても

「専門家」はいないのです。

しかし参加する資格があることと、投稿の内容とは別問題です。

法律学という約束事、その中で議論しようではないかという

特別のグループに対し、

その約束事を無視する投稿をしようとするのは、

内容としてふさわしくないのはもちろんのこと、

そもそも参加する資格が疑われてしまいます。



投稿するにあたっては、

「法律学上の諸論点について学術的議論を行う」ニュースグループだ

ということの意味を考えてください。



おそらくは、必要に応じて専門用語、概念が使われる結果、

わかりにくい投稿があると思います。

その時に、自分も勉強しようということで、質問するのは大歓迎です。

一緒に勉強しましょう。

(ただしスレッドは分けましょうね。

 安易にreにして、読む人を苛立たせないようにしましょう。)

しかし、そういう議論に難癖をつけるのはご遠慮ください。



仮に

「法律学上の諸論点について学術的議論を行う」

ニュースグループであることを

無視するような投稿がなされても、

必ずしも応答があるとは限りません。

fj参加者は職業は何であれ、

大人という意味での「社会人」であると考えますし、

法律を議論する者がそういうことをわきまえないのも問題でしょう。

基準5にもあるとおり、

「応答しない」という「応答」が待っています。

……自分の投稿がふさわしいものかどうか、考えてみてください。



なお、ネットにおける匿名性は日本だけの文化であるとか

fj.sci.*では、古きよき伝統が残っていて、

大部分の方は実名で参加しているのではないかという指摘があります。

この指摘の正否はここでは論じませんが

「法律学上の諸論点について学術的議論」をしようという者が

自己の言論に責任を持たないというのは問題でしょう。

現にfj.sci.lawの憲章に即した投稿を行う人の

ほとんど全員が

・メールアドレス中

・本文冒頭

・署名中

のいずれか(もしくは複数)で実名で投稿しています。



「法律は信用できない、法律学は嫌いだ。」

fj.sci.lawを購読しないことをお勧めします。



「法律ではどうなっているか知らないが、現実にはこうだ。」

法律ではどうなっているかを議論するニュースグループなのです。



「現行の法律や解釈には問題があるのでこう変えるべきだ。」

とりあえずfj.soc.lawなりfj.soc.politicsなど

他のニュースグループをご検討ください。

その方がよりふさわしく有益でしょう。



「そういう表現を使われても困る。

 もっと素人にもわかりやすく書くべきだ。」

そう言わずに一緒に勉強しましょうよ。

でも勉強も無理強いはしません。

どうしても嫌なら……やはり購読しないことをお勧めします。







第3章 投稿基準第2群……クロスポスト禁止基準



基準2 fj.soc.lawや法に関連する他のニュースグループ

   (例fj.soc.copyright)とのクロスポストは推奨しない。

    クロスポストの必要な場合というのが想定しにくいが、

    仮に必要な場合にはFollowup-Toの指定を推奨する。



原則としてはクロスポストは禁止と考えてください。



なぜそのようなラジカルな発言をするにいたったか。

その背景を説明します。



さて、ここで特に勘違いしないでほしいところですが、

ニュースグループと

大手パソコン通信でいう「シグ」「フォーラム」「会議室」などとは、

性格が違います。

会議室などはテーマごとに分かれているのが普通ですが、

同一もしくは類似の会議室が複数用意されていることもあります。

そうするとより多くの人に自分のメッセージを見てもらおうとして、

同一の内容を複数の会議室に投稿するという行動がよく見られます。



ネットニュースもその延長線上に考えて、

一つの記事のヘッダ部のニュースグループ欄に

複数のニュースグループを指定することによって、

複数のニュースグループに投稿したり(クロスポストと言います)、

御丁寧に別々のニュースグループにそれぞれ投稿したり

(二重ポストもしくはマルチポストと言います)して、

多くの人に読んでもらおうとするんですね。

でも伝統的に二重ポストは禁じ手になっていますし、

クロスポストも

全く関係のないニュースグループに行うことは禁じ手となっています。



読み手の側にたって考えるとその理由はわかると思います。

例えばペンギンを趣味にしている人が

ペンギンの話題について読みたいと思って

fj.rec.penguinを購読しているのに、

(注意 現在japan.animal.penguinは存在していますが、

    fj.rec.penguinは存在していません。

    CFVがあれば佐々木はYESと投票するでしょうが。)

そのニュースグループにダチョウの話題を投稿するのは、

読者にしてはうっとうしいだけでいい迷惑ですよね。

(投稿する側が

 「これはペンギンを趣味にしている人にも読んでもらいたい

  ダチョウの話なんだ」と言っても

 それは読者のことを考えない、投稿者のわがままというものでしょう。)



ちょっと考えてほしいのですが、

法律というのは社会のルールの一つですから

およそ社会的な問題というのは、

多かれ少なかれ法律的な問題を含んでいます。

そこで「これは法律の問題にもなるから」という理由「だけ」で、

fj.soc.lawにクロスポストしていくとどういうことになるでしょうか。



例えば、人権は日本の場合憲法11条以下に規定されています。

人権問題は多かれ少なかれ憲法に関わる話です。

そこでfj.soc.human-rightとfj.soc.lawにクロスポストする。

ところで、それではfj.soc.human-rightの存在意義って何でしょうか?



例えば、著作権は日本の場合著作権法に根拠を持つ権利と言えます。

ですから著作権はすべからく法律に関する話題です。

そこでfj.soc.copyrightとfj.soc.lawにクロスポストする。

ところでそれならfj.soc.copyrightの存在意義って何でしょうか?



別のニュースグループが存在する目的って何でしょう……。



現実には、fj.soc.lawを購読し投稿する者が、

fj.soc.copyrightを読まないということはいくらでもあります。

逆もまたあり。

そこでfj.soc.lawの読者にも意見を聞きたいという考えで

クロスポストする場合もあるでしょう。

しかし、これはやはりさっきのペンギン−ダチョウの例と同じ

わがままだと考えます。

ニュースグループという仕組みは、

読者が自分の興味のある分野を選択して読むことができるようにするための

仕組みではないでしょうか。

「私は……のグループの購読者にも読んでほしいのだ」

「これは……にも関係のあることだから。」

それだけの理由で安易にクロスポストすることは、

別個のニュースグループを設けた意義を失わせることになります。



fj.sci.lawでクロスポストを推奨しない理由がここにあります。



fj.sci.lawは法律学上の諸論点について

学術的議論を行うニュースグループです。

法律は社会に関係することですが、

現実の社会における問題が全て

法律学上の諸論点について学術的な議論を行える問題だとは限りません。

また、ある問題について、法律学的に考えていくのと、

別の立場から考えていくこととは、

必ずしも一致するものではありません。

そもそも問題の立て方自体変わってくるでしょう。

そうすれば、クロスポストする必要は、どんな場合にあるでしょうか?



現時点ではクロスポストする必要のある問題はないと考えます。

(もしくはクロスポストが必要な話題は

 fj.soc.lawに投稿すべきでしょう。)



もし、fj.sci.lawの参加者にも読んでほしかったら……、

fj.soc.lawに投稿した後で、

読んでほしい人に個人的にmailした方がいいと思うけど……。

たいていはfj.soc.lawも読んでいると思うにゃあ。

(fj.sci.lawしか読まないという人が出ることは想定していないんだけど、

 何らかの理由でそういう人が多くなってきたときは、

 むしろfj.soc.lawのあり方を議論しなければならないでしょうね。)



繰り返します。

クロスポスト及びマルチポストは原則として禁止です。

本当にクロスポストする必要があるのかもう一度考えて見てください。

法律学のアプローチとそうでないアプローチとでは

答まで変わってきますよ。

「法律だ」というだけでfj.sci.lawにクロスポストしたり

いわんやマルチポストするのは禁止ですよ。



ここでマルチポストについて付け加えておきます。

クロスポストについて述べたことは

全てマルチポストにもあてはまることです。

さらにマルチポストの場合。

「ネットニュースのデータ量が無意味に増大する。」

「多くのニュースリーダーでは、

 クロスポストについては

 一つのニュースグループで既読にすると、

 他のニュースグループでは見えなくなるのに対し、

 マルチポストではそうはならないため、

 同じ記事を何度も読まされることになりかねない。」

ということで、さらに悪質とせざるを得ません。

マルチポストはfjで禁止されていることですが、

fj.sci.lawでも同様に禁止されていることを明言します。



なお、他のニュースグループで議論している内に、

法律上の問題点が明らかになって、

その点について細かい議論をしたいということになった時は、

遠慮なくfj.sci.lawにもってきてください。

(おそらくこのパターンが一番多いでしょう。)

ただしその時も、法律学の専門的な議論が展開されるのですから、

他のニュースグループは外しておきましょう。

具体的には元のニュースグループとfj.sci.lawとを指定した上で

「Followup-to: fj.sci.law」の1行をヘッダ部に書き加えることで

その記事に対するフォロー記事はfj.sci.lawにのみ投稿されます。



またfj.soc.lawとfj.sci.lawのどちらがふさわしいか判断できない時は

fj.sci.lawを外してください。

法律学を勉強している人であれば問題にひそむ法律学上の諸論点を

たいてい抜き出せるはずです。

それが迷うということは

おそらく問題として熟しきってないということです。

fj.sci.lawを外しておくのが無難でしょう。





第4章 投稿基準第3群……法律相談・アピール禁止基準



基準1 具体的紛争の存在を前提とする相談的な投稿は推奨しない。

   (議論の進行にともない他のニュースグループから移行することは

    かまわない。)



法律学の議論の場を確保するために、

1 具体的な紛争をかかえるものが、その解決を求めて相談するような投稿

 (法律相談的な投稿)

2 具体的な紛争や社会問題に対し、何らかのメッセージを持つ者が、

 読者の何らかの応答を期待したり、読者の注意を喚起するために、

 (法律学の議論以外の何かを求めて)行う投稿

 (アピール的な投稿)

を行うことはご遠慮ください。



具体的には

「友人に本を貸したんですが返してくれません。

 どうしたらよいでしょうか。」

「こういうことが行われていて問題です、あなたのお力を貸してください。」

「この問題について責任者の回答を求めます。」

という類の投稿です。



この基準は今までの基準とは異なる意味を持っています。

実は法律相談に回答することは、一種の事例研究であり、

法の目的が紛争の解決にあるのであれば、

法律相談に対する回答を作成することは、まさに法の実践です。

そういう意味では排除する理由がありません。



しかし、fj.soc.lawにおいて実際に行われた法律相談を見ると、

いくつかの問題点があります。



多くの相談者は、真剣に解決を望んでいる場合が多いのです。

この場合の解決とは、具体的な解決のための行動手順です。

ところがfj.sci.lawで行われる議論が、

これらの具体的な解決のための行動手順を示すことにつながる保障は

全くありません。

また、仮に示されたとしても、それが正しいという保障がありませんし、

正しくない場合に、責任をとれる話でもないのです。



fj.sci.lawの参加者は弁護士、裁判官、検察官には限定されません。

彼ら法律実務家が

えてしてコンピューターを苦手にしていることが多いことから考えると

むしろ法律実務家の参加は少ないと見るべきでしょう。

仮に参加していたとしても、適切な回答がされる可能性は低いと思われます。

裁判官が何かの意見を表明した場合、

その中立性を疑わせることになりかねません。

そもそも回答自体を避けるでしょう。

検察官にも同様のことが言えます。

弁護士にはそういうことはありません。

しかし冷静に考えてください。

弁護士が自分の事務所で相談を受ければ、

30分5000円の報酬を受け取ることができるのです。

あなたはそういう人にただ働きを要求するのですか?

そうすれば回答をする人も、法律実務家ではないという点に

注意する必要があります。

当然回答する人は、

自己の信用が失われないよう注意して回答を作ります。

しかし、それ以上の責任をとれる訳ではありません。



また、相談者の多くは

「自分に権利があるか否か」だけではなく、

「それが実現可能か否か」

「実現する場合にはどのような手順をふめばよいのか。」

ということまで望んでいます。

しかし、fj.sci.lawでは

「権利の存否」については回答が得られるでしょうが、

「実現可能性」「手続」までは回答が得られない可能性が高いのです。

実現可能性は裁判になった際の証拠の状況に相当左右されますし、

手続については、かけることができる費用・時間に相当左右されます。

これらのことをネットニュースで詳細に検討するのは不可能に近いですし、

またfj.sci.lawが予定している「法律学の」議論でもありません。



以上の理由からfj.sci.lawにおいては、

具体的な紛争の解決を目指した相談の投稿を推奨しないこととしました。



ただし、他のニュースグループで議論をしている内に、

法律上の問題点が明らかになった場合に、

他のニュースグループからfj.sci.lawに移行してくることは

問題がないと考えます。

(最初から法律学の問題だとわからない場合には、

 むしろこのように移行してくるのが正しい利用法だと考えます。)

この場合でも、フォロー先を指定するなど、

無用な混乱を防ぐ必要があります。



なお、法律相談については「fj.soc.lawに」とも言わないことにします。

上にあげた問題点はfj.soc.lawでもあてはまることだからです。

またネットニュースの配送は必ずしも即時に行われる訳ではないので、

直ちに弁護士に相談していればなんとかなったことも

fjに投稿して回答を待つ間に

どうにもならなくなったという可能性も相当高いのです

(例えば時効や各種の申立期間の制限もしくは証拠保全など)。

これらの限界を考えた上で、なお意見が必要であれば、

以前のとおりfj.soc.lawに投稿することを止めるものではありませんが。



さらにこの基準に関連して、

ある集団・個人が遭遇している問題を

広く社会にアピールしたり、何らかの救済を求める内容の投稿も

推奨しないこととします。

例えば

「私(もしくは私の属する……というグループ)は、

 現在……という問題をかかえています。

 みなさんの支援(救済・意見などなど)を期待します。」

という類のものです。

fj.sci.lawは法律学上の諸論点について

学術的議論を行うニュースグループです。

法律が紛争の解決のためのものであったとしても、

このニュースグループの目的は議論を行うことであって、

何か社会に向けて行動を起こそうというものではないからです。

このような投稿をされても、

その中に法律的な論点が含まれていなければ、議論の対象にはなりませんし、

含まれていても法律学の議論をしてそれで終わりです。

何も手助けはしませんし、できるものではありません。

(聞いてもらうだけでいい?

 それは読者のことを考えないわがままでしょう。)



この点に関連して、fj.sci.lawと司法試験の関連について

注意喚起したいと思います。

fj.sci.lawは

法律学の議論の場を確保しようとして生まれたニュースグループです。

したがって司法試験に出題された(もしくは出題されそうな)

問題を討議するのはいっこうに差し支えありません。

しかし、fj.sci.lawで行われる議論が

司法試験レベルに止まる保障はないことに注意する必要があります。

また司法試験に関連する物品の斡旋や勉強仲間の募集については、

それ自体は法律学の議論とは言えないので、

推奨しないこととします。

物品の斡旋についてはfj.fleamarket.*を、

仲間の募集についてはfj.soc.lawなどを

利用してください。





最終章 さいごに……



以上、長文にわたって説明してきましたが、

話は全て基準1から5までに尽きるものですし、

その骨子は

「fj.sci.lawでは、法律の問題について、

 法律学の枠組みの中で議論しようじゃないか。」

という点にあります。

そのことを理解して、楽しく有益な議論を行う場にしましょう。





本当は冒頭に書くべき謝辞



この投稿基準の作成のきっかけは、CFD期間中の

会沢@東大、村上@一橋大 両氏とのmail交換にありました。

その中で両氏から有益なアドバイスをいただいております。



japan.animal.penguinの存在については、

明間@京大農 氏から御指摘をいただきました。



この投稿基準はfj.archives.documentsにも投稿されます。

fj.archives.documentsへの投稿は

木津@阪大 氏の提案によるものです。



以上の皆様に深く感謝いたします。



ちなみにこの投稿基準自体が

クロスポスト禁止基準に形式上該当しますが、

fj.archives.documentsの保存期間を

比較的長く設定しているサイトが多いことにより

この投稿基準を参照できる機会が増えることとなります。

これは合理的理由として正当化されると考えます。

またやむを得ないクロスポストに要求される

フォロー先の指定もまた行われていることを付言します。



この投稿基準の有益さは以上の皆様の御尽力によるものですが、

不手際は執筆者である私佐々木将人@函館の責任によるものであります。

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