高校の図書室の閲覧机は、
ずいぶん広かったという記憶があります。
街の中の進学校だったその高校の図書室は、
放課後ともなると受験勉強をする生徒が集まってきて……
なんてことは必ずしもなく、
放課後デートの場所に使うことが十分に可能な
ゆとりはありました。
1年の頃から図書局の仕事をし、
3年には局長に就いた彼女が
それをどんな思いで見ていたかは
わかりませんが、
少なくとも
まさか自分がその風景に加わることになるとは
想像していなかったはずです。
私が何も言わず席に着くと
周囲におされるようにして
「しょうがないなあ」という顔をして向かいの席に座り
受験勉強をはじめる彼女。
多くの恋人達が隣同士に席をとる中で、
向かいあって座る2人。
周囲は不思議がったけど、
ふと気づくと彼女がそこにいる、
そんな位置が私は好きでした。
そんな2人ですから
デートの場所が市立図書館ということもありまして、
山のふもとの公園の中の
時代を感じさせる重厚な石造りの図書館の2階で
やっぱり向かいあって座り、本を読む。
偶然とおりがかった友人にあきれられたこともありました。
お昼からのデートの待ち合わせは、
2人とも来やすい中心街の書店。
大都市に比べたらそんなに広くはないんだけど
函館で一二を争う老舗。
それでいて当時コンピューターがそんなに普及していなかったはずなのに
きっと函館市内のコンピューターの数より多いコンピューター書籍を置いていた
その書店。
待ち合わせの5分前、
2階の階段をのぼっていくと……。
彼女はたいてい階段を横目で見ることができる位置で
でも結構熱心に立ち読みをしていました。
「大変お待たせいたしました。」
「うん。」
そこの書店にまさか自分の本が並ぶことになるなんて、
全く思いもしなかった頃。
あれから私は一旦離れたこの街に戻り
彼女は入れ替わるようにこの街を離れ
風の便りに幸せになったと聞きました。
「ねえ、どこからやり直す?」
「高校あたりでいいんじゃない?」
「じゃあ、そうするね。」
そう言って私の腕から降りると同時に高校時代に戻る彼女
そんな彼女が夢の中だけの存在だって
きちんと理解して懐かしく感じている私は
「高校時代、立ち読みのために取り出した本の著者が私だったら、
きっと驚くんだろうな」
なんて、
これまたあり得ないことを想像しながら……。
大文堂の2階への階段をのぼって、自分の書いた本を1冊、買ってこようと思っているのです。
2008年5月20日までの大文堂への行き方
1 まずJR函館駅か函館空港までたどりついてください。
(わからない場合は個別に相談にのります(笑))
2 函館空港に着いた場合には、函館駅前行きの直行バスなり、
途中いろいろ寄る路線バスがありますから、それで函館駅まで行っちゃってください。
(実は途中でも降りれるけど説明がめんどくさいので省略
せっかくだから市電にも乗りなさい。)
3 JR函館駅に着いた場合には改札口を出てそのまままっすぐ進んで外に出てください。
函館山の見える方に行ってはいけません。
4 正面にデパートが2つ、そして右のデパート(棒ニ森屋)の手前に市電の乗り場があります。
その乗り場は実は線路をはさんで2つありますので、手前側で待っていてください。
湯の川行きが来るはずですからそれに乗ってください。
たまに駒場車庫前行きとか五稜郭公園前行きも来ますがそれでもいいです。
谷地頭行き、どっく前行きは逆方向ですから乗らないように。
(それ乗り場間違っています。)
5 五稜郭公園前で降りてください。
安全地帯から横断歩道で丸井今井デパートへ渡ってください。
6 渡りきったら左へてくてく歩きます。
横断歩道とか地下道なんて渡らなくていいはず。
(それ左と右を間違っています。
いや、GLAYファンなら地下道行ってもいいけどさ。)
7 ものの2分で大文堂に着きます。
「2008年5月20日まで」と書いたのには理由があります。
大文堂のこの店は2008年5月20日限りで閉店しました。
函館大学内の書籍部がどうなっているかはまだ確認していないのですが……。
だけど……。
ここに書いた想い出と、
私の本を5冊もとって平積みしてくれた心配りに感謝して、
この文章は残しておきます。
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