東電OL殺人事件の話。
参照 http://www.lufimia.net/dynamic2/tpl00/179
実際,ニュース聞いてて,無罪判決出たってあって
「あれ?開廷できたの?」
って謎に思っていたところ
某方面で「予想外れたのなんで?」ってあったので
原因をつらつら考えて見たのさ……。
で,その最大の原因は
「もともとの裁判でも1審東京地裁は「無罪」だった」
って点をすっかり見落としていた点。
もうすっかり「再審は東京地裁から」だと思い込んでいたという。
刑事訴訟法435条により再審は
「有罪の言渡をした確定判決に対して」行うものであるところ
1審が無罪で検察官控訴して原判決を破棄してかつ差し戻さないで自判すれば
有罪の言渡をした確定判決は控訴審のそれになり
よって再審も控訴審である東京高裁からになるのさ。
1審と控訴審で何が違うかと言えば
1審は前に書いたとおり
「被告人の出廷が権利でもあり義務でもある」ので
とにかく被告人を法廷に連れてこないと
裁判自体が進められない。
→連れて来れないと無罪判決も出せないやん。
ところが控訴審の場合は
「被告人の出廷は権利ではあるが義務ではない」ので
被告人が法廷に来なくても裁判を進行させられるのだ。
とはいえ
被告人の出廷の権利を奪ってはいけないので
被告人に対し期日の通知をしなければならないことになっている。
(通知をしないのは違法だって判例もある。)
そうすると,通知をどうやってやるかってことで
通知ができなければ結局前に書いたとおりの話に戻るんだけど……。
この点は刑事訴訟法54条により特則ない限り民事訴訟法準用となる。
そして民事訴訟法では通知については
「適宜の方法でよい」となっていて
一番使われるのは「普通郵便送付」「FAX送付」「電話で口頭で告知」ってあたり。
(その他にあえて言えば「期日請書提出」か?)
ところが……
素の状態では被告人の連絡先はわからなくて当たり前。
だってそれまでの裁判は身柄が拘束されている状態だったけど
刑の執行が停止された時点で
被告人は裁判所に対し連絡先を明らかにしなければならない義務もなくなったわけさ。
(これが保釈や勾留執行停止なら,住居の制限がつくくらいだから,連絡先は当然明らかにしないといけない。)
そうすると強制送還された時点で
「通知もできない→裁判開けない→それでも無罪よりまし」と検察が考える可能性が否定できないも同じ。
ところが弁護人側の選択肢が変わっちゃうのよ。
通知を受けることができさえすれば被告人が出廷しなくても裁判は進行する。
裁判が進行すれば無罪判決が出る公算が高いし
仮に有罪判決だとしても
ネパールと日本との間に犯罪人引渡条約がない以上
弁護人側が被告人に「もう二度と日本(とアメリカと韓国)に来るな!」と厳命してそれが守られれば
実際に身柄を拘束されることはない。
……裁判を進行させることのリスクがこと身柄拘束に関する限りほぼないのよ。
そうすると
「通知を受けられるようにする」わな。
そして刑事訴訟法で準用される民事訴訟法には
「送達場所の届出,送達受取人の届出」を任意に行うという制度があって
これを届けちゃえば,通知を受けることができるようになる。
これに対し検察側は
「起訴自体やめます」って制度がない。
正確には第一審判決前までなら257条による公訴取消ができるけど
(ちなみに例のPCなりすましの案件はこれで行ったらしいけど
厳格に言えば制限付きとはいえ257条による公訴取消後再度起訴することは可能なので
犯人ではないと真に思っているなら無罪判決を出した方がいいって考え方が本来正解。
仮にこれを阻むものがあるとすれば,検察の意識もさることながら
市民の側の「無罪と言ってもやったんでしょ」って偏見が大きいと思う。
言い換えれば逮捕で一件落着的な意識。)
本件では1審判決が出ているのでだめ。
裁判開かれたらあとはもうあくまで有罪って言い張るか
あきらめて無罪論告しちゃうかって選択肢しかない。
今回はどうも無罪論告したみたいなんだけどね。
というので元々の裁判の1審判決が無罪だという点を見落としたがゆえの読み間違いでしたとさ。
余談
じゃあ今回なんで検察が有罪論告あきらめちゃったかというと
法廷に出された証拠によって「合理的な疑問をさしはさむことができない程度に確かに有罪だと証明できた」とは
とても言い難い状況だったということに尽きると思う。
検察は再審に限らず他の事件でも無罪論告した例がいくらでもあるし
一方で「どうみても無罪出るでしょ」って再審でも堂々と有罪論告しているからね。
本件だけ国民世論に配慮したなんて思想は検察にはないと思う。
佐々木将人:
2012年11月9日 20時41分:
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(0)
注文主のイラストを印鑑にしてくれるサービスがあるそうだ。
(http://www.itaindou.com/index.php)
で,読んでいくと
銀行印として使えたって話が紹介されているんだけど
これはまあ当たり前と言えば当たり前。
銀行がなぜ口座開設時に印鑑を届け出させ
窓口での払い戻しの際にその押印を要求するかというと
「預金払戻請求書(押印付き)を作成して通帳とともに提出された時に
銀行備え付けの印鑑票の印影と預金払戻請求書の印影とを充分な注意をはらって照合して
同一のものだと判断した場合には,
預金を払い戻すことができ,
この場合にたとえその印鑑が偽造もしくは盗難されたものだとしても
民法478条によって,銀行は再度払い戻す義務がない
=預金者がだましとった人間相手に請求しなさい。」
という点にあるんで,
民法478条及び関連判例で示された印影の同一性の判断に支障をきたさなければ
(=銀行に不利な判断がされそうな印鑑でなければ)
銀行が断る理由はないんだよね。
あとはまあ銀行の
「印鑑が変わっているってことだけで取引を断って客を逃がすか」
否かの判断に落ちる。
一方印鑑登録なんだけど
これは正直市町村役場によって判断が異なると思う。
というのは,印鑑登録という制度自体
直接の根拠は各市町村の条例によるんで
その条例にどう定めているかによる。
そして例えば函館市の条例なら
「その他登録を受けようとする印鑑として適当でないと市長が認めるもの(3条2項6号)」
的な条文はたぶんどこの市町村にもあると思うんで,
市役所の担当者がこれを発動してしまうと
行政訴訟でひっくり返すのはちょっと面倒かな……って感じ。
ただ,ぎりぎり言えば,氏も名もない印鑑ならともかく
氏か名が入っている印鑑であれば
印影の識別は文字だけの場合に比べてより容易であるとは言えるんで
勝ち目がないかと言うと個人的には意外にいけるんじゃないかとは思っている。
この点は「職業,資格その他氏名以外の事項を表しているもの(3条2項2号)」該当だって言われた時にも同じ反論が可。
この問題,実は究極的には
民事訴訟法228条4項のあの二段の推定の話における
「本人の押印」に
「本人の氏も名も一切ないor他人の氏・名らしきものが書かれている印」が含まれるかどうかという
結構深い問題につながるのではありました。
佐々木将人:
2012年10月11日 0時18分:
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大阪市のサイトに殺人予告を書き込んだことが偽計業務妨害罪に当たるとして
身柄付きで起訴した男性について
別人がその男性のコンピューターにウイルスに感染させ踏み台にして書き込んだ可能性が高いとして
勾留取消を請求して身柄を釈放した旨の報道がされたんだけど……。
やっぱりピントがずれているよなー。報道の。
起訴して裁判がはじまった以上
その男性について
・少なくともその男性ではないとして無罪論告をする方針なのか
・この男性の可能性も残るとして公訴取消をする方針なのか
この点こそが大事であって
身柄釈放して一件落着って話じゃないでしょう?
伊勢神宮の方はまだ起訴前だから
身柄釈放しただけでもまだいいけど……。
「逮捕すれば一件落着」だと思い込んでいる記者
(実は国民も)の悪い癖だよにゃあ。
P.S.
ふと見てみたら毎日.jpは
この点への検察幹部へのコメントをとっていた。
偉い!
佐々木将人:
2012年10月7日 23時23分:
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違います。(笑)
でも,(原文読んでないんであれなんだけど)
なんかイングランドの裁判所ならではの判決だとは思いましたよ。
英米法ならではの「仕立てのいいオーダーメイドのスーツのような着心地の」判決。
参照 http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE86901220120710
例えば制定法主義でぎりぎり言えば
「こういう要件が揃えば特許として成立する」
「特許として成立すれば,他の人はこういうことができなくなる」
「よって,○○は□□できない」
という法的三段論法で詰めていくだろうし
各段階がそれぞれ問題なければ結論は決まってしまう。
もっとも特許制度について言えば
イングランドだって制定法のはずではあるんだけど……。
でも大原則としては「equityはcommon lawの補遺」「制定法は裁判所で使用されてはじめて法である」のイングランドだと
ここでも「救済を与えるべきか否か」という面での検討が行われたんではないか……と。
で,ちょっと考えて欲しいんだけど
Apple社が特許もしくはその他の知的財産権として保有しているものの全てが
特許もしくはその他の知的財産権として保護する目的に適い
また社会的な利益になるものなんだろうか?
私結構疑問に思っているんだけどね。
で,その問題意識から,
「仮にAppleの○○に特許もしくはその他の知的財産権が成立したとしても
Samsungの□□によってそれを侵害したとは評価できない=Appleを救済しない」
という判断にいたったんだとすれば
この判決はイングランド的にまともな判決だと思うんですよ。
この判決が先例になれば
「AppleがSamsungを訴えてもたいていだめ」
「SamsungがAppleを訴えてもたいていだめ」
になるんで,これって結構いい落としどころではないかと思うんだけど……。
佐々木将人:
2012年7月10日 23時53分:
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(0)
なんか刺激的なタイトルなんだけど
再審開始決定が出たというニュースの中で刑の執行停止も出したというので
この可能性を真っ先に考えてしまった……。
その後,私の予想どおりに推移している……。
そもそも再審開始決定は刑事訴訟法448条1項に基づくもので
再審開始決定が出た場合の刑の執行停止は同条の2項。
で,これは「決定で刑の執行を停止することができる」という形なので
・「できる」だから「執行を停止してもいいししなくてもいい」
・裁判所が執行を停止するとした場合には「決定」によらなければならない
ということになっている。
そして当事者(というか被告人・弁護人側)からの申立がなくても職権でできるんだけど
「再審開始決定」自体が「無罪であるとわかったから」はじまる「ものではない」建前である以上
「再審したけどやっぱり有罪だった」ということも建前上はあるわけで
そうすると申立がないのに職権で執行停止かけるのはあまり考えにくい。
おそらくは被告人・弁護人側から再審開始申立と同時に刑の執行停止もあわせて申し立てたと考えるのが自然。
さて,刑の執行停止の決定が出ると,
先行する有罪判決の確定によって発生した
「国家が特定の被告人に刑罰を科すことができる権利(=刑罰権)」
が停止されることとなる。
そうすると……別途裁判所が被告人を勾留する手続をしない限りは
被告人の身柄を拘束する根拠がなくなるから
検察庁としては釈放するしかなくなるのだ。
(捜査段階だと検察官に被疑者の勾留を請求する権利があるけど,
起訴後はそのような権利はなく
もっぱら裁判所が勾留するかどうか決めるのであって
検察官には裁判所が勾留するよう促す(=職権発動を求める)ことしかできない。)
そして裁判所が勾留の必要があるとふめば
(死刑でもない限り)そもそも刑の執行停止をしなければよいのであって
刑の執行停止をする必要があると判断した以上,被告人勾留をすることはあり得ない。
……いよいよ検察庁は釈放するしかない。
ところが……。
外国人の場合だとあまり知られていない特殊な事情がからんでくる。
日本に永住資格のある外国人だと別だけど
そうでない場合,当たり前だけど当初許可された在留期間を超えて日本にとどまろうとすれば
日本政府の許可をとらなければならない。
そしてこの手続は刑務所の中ではそもそもできないわけだ。
……そうすると日本の刑務所で服役中に在留期限がすぎた外国人は
仮に釈放されたとしてもいわゆるオーバーステイ状態になるから
入国管理局が身柄を拘束して本国に強制送還することができることになる。
で,この先が「あまり知られていない特殊な事情」になるんだけど
入国管理局はこの手続をふむにあたり
「現在,日本でその者に対し刑事訴訟手続が行われている」
なんてことは「一切」考慮しないのさ。
言い換えれば,強制送還することで,日本での刑事訴訟に差し支えが出たとしても
それは入国管理局が何かの義務違反に問われることにならないというのが現在のシステム。
まして本件被告人は別件のオーバーステイでは有罪判決が確定しているから
そのことだけでも強制送還対象事案。
そうすると……
報道によると入国管理局が身柄をおさえたらしいので
おそらく手順で国外退去・強制送還になると思う。
国外退去になってしまえば……
国外退去に刑事訴訟法451条2項,3項は適用されず,
286条で被告人が出頭しないと開廷できないし
そもそも被告人を法廷に呼び出す手続もとれないので
裁判が事実上止まってしまうことになる……。
(判例探せば「病気等による公判手続停止」の準用を認めたものがあるかもしれないけど……
公判手続停止なら再開されない限りやはり無罪判決は出ない。
被告人の出頭義務がないと解するって突破口は全くないとは言わないけど
「再審でも有罪はあり得る」という制度上は
「有罪判決の可能性がある以上,被告人不在で法廷は開けない」という大原則が適用されて
出頭しなければ開廷できないになると思う。)
裁判ができないと無罪判決も出せないでしょ?
というので表題の話のとおりになるわけ。
日本での有罪判決が本国でどう扱われるかに左右する話ではあるんだけど
仮に本国では何の影響もないとすれば……。
あとは日本に入国しようとした時に
有罪判決を受けているとそれだけで入国を断ることができるってだけの話なので
「もう日本には来ません」
というのであればこれまた気にする必要はなし。
とすれば弁護団が「無罪判決までは不要,刑の執行停止→強制送還で充分」と判断したのであれば
刑の執行停止まで求めるのは正解だし
これはあまり考えたくないんだけど
「再審無罪」が出るより,出る前に強制送還の方がまだましと考えれば,
「刑の執行停止の効力停止」を求めるより
自然体で普通の不服申立手段だけをとって
その間に強制送還されてもやむなし(=無罪にはなっていない)……という思考ってあるのかな……とは思った。
佐々木将人:
2012年6月7日 23時39分:
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(2)
自分用の執筆資料というかデータベースは
ずいぶん前に電子化
(といっても一定のフォーマットのテキストファイルで
UNIXのコマンドとか自作のプログラムで処理しているんだけど……。)
されているところ……。
今日ファイルの一部が壊れていることが判明したという。
具体的には5年前の何日か分と4年前の何日か分と去年の数日分。
エディタで開いても中丸が表示されたり黒い豆腐が表示されたり……。
あわててコンピューターの中を捜索して
偶然残っていた過去のファイルから復元して
去年の数日分を残すのみとなったんだけど……。
今から紙に戻れないしなあ。
とりあえず
「最新版のを何カ所に持つ」
だけじゃなくて
過去の分のSnapshotも定期的に作るようにしよう……。
佐々木将人:
2012年5月30日 22時04分:
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(0)
某有名人が某有名人を相手に起こした「建物明渡等請求訴訟」の判決言渡が今日東京地裁であったようだけど
傍聴希望者が300人も集まって東京地裁が抽選を実施したそうなんだけど……。
これは100%に近い比率で「報道関係者もしくはその依頼を受けて列に並んだアルバイト」だと想像している。
というのは……だ。
日本の民事訴訟法によれば
訴状及び口頭弁論期日呼出状の送達を受けていながら
答弁書も出さずまた口頭弁論期日にも出頭しなかった場合
「訴状記載の請求原因事実は全て認めたものとみなす」わけで
そうすると,請求原因事実の記載が足りてなくて「主張自体失当」として請求棄却判決がなされない限り
裁判所は原告の請求を認める判決を出すしかない。
本件ではどうも答弁書も出さず出頭もしなかったんだから
判決の内容はもう「明け渡せ,払え」という判決しかあり得ないのです。
しかも判決言渡期日には当事者の出頭は不要。
傍聴しないとわからないことなんか1個もないよね。
で,ある程度裁判を傍聴している人なら,このくらいのことはわかっているから
まあ傍聴にはいかないよね。本件に限らず民事の被告欠席型の判決言渡期日については。
それが300人来たということはだ……。
これ,一般的な扱いのとおり「先着順……何もせず,椅子が全部終わったら終了」にしてたら
どうなってたんだろう……。
……なんかそれでもいいんじゃないのって思った。
佐々木将人:
2012年3月1日 0時07分:
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(0)
銀行預金が「貸したお金を返してくれという」「売買代金を払ってくれという」のと同じ
「債権」であるってことが,あまり知られていないんじゃないかと思ったさ。
銀行預金は銀行と利用者との間に適用される「約款」がたいていのことを定めているんで
民法の典型契約のどれにあたるかという議論は
あまり大きな意味がないのかもしれないけど
でも,「どういう性格なの」と聞かれたら
民法666条の「消費寄託」契約をベースに考えることになっている。
「消費」のつかない「寄託」契約は「物を預かってあげるよ」という契約。
「この物を預かってくれる?」
「よろしゅうございます」
「じゃあよろしくね(と言って物を渡す)」
ことで成立。
預けた側は「預けた物を返してもらえる」という債権を得るわけだ。
消費がつくと,預かった物自体は使ってもいいけど,
返す時には同種同量のもので返さなければならないと変化する。
もっとも基本形は上のとおり。
同種同量のものというものの典型例が「お金」なわけだ。
預かったお金は使ってもいいけど
=預かったお金そのものを保管しなければならないってことはない。
10000円なら10000円を返せば,預けた時の紙幣や硬貨で返すことまでは不要。
これが消費寄託。
銀行預金もこれだとされている。
ここで注目してほしいのは
消費寄託の場合「同種同量のものを返してもらう」という内容の「債権」が成立するという点なのです。
これが債権であれば,当然民法の総則的規定や債権総則規定は適用になるわけで
その中には「消滅時効」の制度もある。
預金という消費寄託において返還請求権が消滅時効にかかる……ということは,
「最後の出し入れから○年経過すれば,返還請求権が消滅時効にかかってしまい,
仮に訴訟をしても相手が時効消滅を主張立証することで,返還請求訴訟でも負けてしまうのです。
現時点での現行制度であっても
「預けたお金が戻ってこない」ことはあるんです。
(↑ここ重要!)
消滅時効を理由に返還を拒めば,たぶん誰も請求できないことなるだろうし
そうすると銀行は現時点での現行制度においても既に
「預かったお金を返さなくてもいい結果,銀行はその分利益を得る」
制度なのです。
今回政府が「長期間出入りのない預金について復興財源にしよう」というのは
本質的には「従来は金融機関のものになっていた消滅時効にかかった預金債権を銀行から集めて復興財源にしよう」
という構造なのです。
……そりゃあ銀行反対するよなあ。
ただでさえ収益源が減ることに加えて
銀行の手間も増えるし……。
ただ銀行の言い分もわかる。
収益源うんぬんかんぬんは持たざる者のひがみっぽい要素もあるんだけど
銀行は会計処理をした後であっても
「正当な権利者」に対しては時効消滅を主張せず,払い戻しに応じている。
一方時効消滅をフル稼動するのがかつての郵便貯金で
「御利用のおすすめ」なんて手紙は出すけど
10年(定額貯金は10年+10年後通常貯金になることから,通常貯金としてさらに10年の合計20年)
で容赦なく払い戻しを拒否している。
「時効消滅を主張できる預金を復興財源に」の発案者は銀行実務を知らなかったんじゃないか……って思えてならない。
佐々木将人:
2012年2月17日 0時17分:
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(0)
法律が試験科目になっている資格試験で
しかもその試験の形式が正誤を尋ねる「○×式」もしくはその変形となっている場合があります。
これって実は「法律学」という学問から見れば
結構「その○×を答えさせるのはナンセンスだよなあ」って問題があったりします。
抽象的に言うと
「この場合にはAとBをしなければならない」
という条文の知識を前提に
「この場合にはAをしなければならない」
という記述の正誤を問う問題。
この記述の正誤って構造的に両方あり得ちゃうから困っちゃう。
まず学問的にはこの記述の正誤は「○」にしなければならない。
すごくラフな言い方をすれば
Aをしなければならないこと自体には間違いはないわけで。
でも実務的にはこれの正誤を議論するのは意味がないのも事実。
というのは
「AをしましたけどBはしていません」なんて相談者に対し
「Aをしたのであればそれでいいよ」って答えてもしょうがないわけでしょ?
「AとBの両方が必要だ」という条文どおりの正確な知識をもとに
「それならBもやってくださいね」ってアドバイスをしなきゃいけない。
「Aをしなければならない」ことの正誤はどうでもいいでしょ?
……でも冷静に考えればこの場合でも「Aをしなければならない」のが誤りなら
「Aはやらなくてもよかったんだけどね~。」って言えるけど
この場合はそうは絶対に言えないんでやはり「正しい」としなきゃいけないのだが……。
ところがね……。
法律が試験科目になっている資格試験だとこうは単純には行かなかったりするのさ。
というのは,私,海事代理士試験対策のページで問題の分析をした時に書いたんだけど
法律の試験と言っても実は2種類あって
「なんのことはない,条文そのものだったり,条文に対する標準的な解釈を丸暗記して,それとの文字列の一致を聞く」
知識量を尋ねる問題と
「条文に操作をくわえて解釈を行い意味を導き出す」
法解釈作業の能力を尋ねる問題があるのさ。
そして法律の形式を借りた知識量を聞く,言い換えれば暗記勝負の問題の場合は
上の問題について「AとBの両方をやらなければならない」場合には
「Aをやらなければならない」という記述を
「Bについてもやらなければならない」という理由で「×」にしなきゃいけないんですね。
(ちなみにこれが学問的ではないと私が思う理由は
もっぱら法律学の前提となる論理操作の点からで
「Aである」という記述は「Bについては何も述べていない」から「BかもしれないしBでないかもしれないと読まなければならない」のに反し,
Aであるという記述かでBではないと読み取っているんで,
それはそういう反対解釈が許される状況であることが明示されない限り,アウトです。)
この時に,学問的にどうのこうのというのは
「法律が出題される資格試験対策としては」「野暮」なのです。
この場合必要なのは,出題者が示す正解・模範解答から
その試験で求められているのが「単なる知識量・文字列一致の判定能力」なのか
「法解釈能力」なのかをみきわめて
それにあわせる作業なのですね。
ちなみにきっかけとなった問題を紹介します。
平成23年度の宅建試験の第42問で
私のサイトのアクセスログ見ていたら刑法の構成要件のところをリンクしていて
試しにリンク元見てみたら宅建試験=宅建業法に刑法の構成要件の話を持ち出していて
「おいおい」と思って流れを追ってみたら……。
ネタ的におもしろかったという話。
問題は,今の私の説明に沿う形で改変しています。
原文はネット上に転がってますので必要でしたら御自身でどうぞ。
宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)がマンション(100戸)の分譲のために案内所を乙県に設置する場合には、業務を開始する日の10日前までに、乙県知事に法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行わなければならない。正しいか誤りか。
ちなみに
宅地建物取引業法
50条2項
宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、あらかじめ、第15条第1項の国土交通省令で定める場所について所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の取引主任者の氏名を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
15条1項
宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第50条第1項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の取引主任者(第22条の2第1項の宅地建物取引主任者証の交付を受けた者をいう。以下同じ。)を置かなければならない。
宅地建物取引業法施行規則
6条の2
法第15条第1項 の国土交通省令で定める場所は、次に掲げるもので、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。以下この項において同じ。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。
一 (省略)
二 宅地建物取引業者が十区画以上の一団の宅地又は十戸以上の一団の建物の分譲(以下この条、第16条の5及び第19条第1項において「一団の宅地建物の分譲」という。)を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
(以下略)
ちなみに……
この問題で単純に知識量を聞く問題にするなら
「乙県知事に法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行わなければならない。」
の部分を
「乙県知事に法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行えば足りる。」
「甲県知事に法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行えば足りる。」
「乙県知事にのみ法第50条第2項の規定に基づく業務を行う場所の届出を行わなければならない。」
とするのがベターなんだけど
ある種の受験テクニック(限定は×が多い)で難易度が下がってしまう難点がある。
……でも正直法律の試験で解釈不要な丸暗記問題出す時点で難易度どうこう言うのが間違っているとは思う。
佐々木将人:
2011年12月15日 2時01分:
Q&A:
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(0)
「物理数学の直観的方法」がブルーバックス化されていた。
社会人1年目の時単行本を買っている。
そして出版の経緯の所を読んで
「私も本を出したい」って漠然と考えた記憶が今も残っている。
「国際法からはじめよう」は「物理数学の直観的方法」ほどの影響は与えていない。
「物理数学の直観的方法」と同じ位置に立つべき法解釈学の本が何を書くべきなのか。
それは私にとっての課題に今もなっている。
佐々木将人:
2011年11月11日 12時58分:
未分類:
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(0)
lnpp2がどうもいまいちなので,
気分転換かねてlnpp3を走らせてみようかなんて思ってみる。
佐々木将人:
2011年10月24日 0時28分:
lnpp3:
comment
(0)
岩波書店の「図書」の2011年8月号に
長谷部恭男先生が「「義務なき働き」について」というエッセイを載せている。
なかなかおもしろい話だなあと思って読んでいたんだけど……。
で,そのおもしろさの1つが
「supererogationに対応する日本語がない」
という点。
「推奨されるべきではあるが,義務ではない行為」
と訳すのが一番意味を伝えていると長谷部先生は主張している。
例としては「サンダーバード」をあげている。
主人公は大富豪の息子であるところ,
救助をしては賞賛される。
だけど救助しなくても批判はされない。
彼らは義務を果たすべくそうしているのではないのだから……と。
そしてこの場合に「なぜそうしなかったか」と問われても答える必要自体がない。
そもそもそうしなければならない義務がない。
そう問う人の方が,ものをわかってないのである……と続く。
このくだりを読んだときに思い浮かんだのは
実は「Fate/Stay Night」の1シーンだったりする。
主人公が「全ての人は助けられない。助けようと思った相手だけを助けているのだ。」と指摘されるところ。
主人公がもしsupererogationを知っていれば
「それが,何か?」と受け流してしまい
「Fate/Stay Night」が成立しないか全然別の話になってしまうか……ってことを考えたのさ。
あと
「普遍的な道徳ではなく仲間内の同胞意識に訴えかける議論は
わかりやすくはあるけど
それで問題が全て解決されたことになるのかという疑問が残る。」
という指摘も
朝,コンビニ近くで高校生が右翼の街宣車に乗って演説しているのを見て
重要だなあって思った次第。
……演説スタイルは右翼っぽくなくてよかったんだけどね。
佐々木将人:
2011年10月10日 0時59分:
未分類:
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(0)
「賃貸マンションに住んでいて所有者である賃貸人に敷金を差し入れていましたが
1年前にその所有者が破産しました。
この度,競売によって新しい所有者が決まり
新しい所有者と賃貸借契約を結び直しました。
前の家主から敷金を取り返したいのですが
どうしたらいいですか?」
……だめじゃん。
ちょっとこの案件,同時廃止には思えない。
おそらく管財人がついているんじゃないか。
管財人がついているのであれば,
第1にこの相談者が破産通知に同封された債権届出書を出していない可能性が高い。
もっとも破産法改正で債権届出をしなくていい場合ができたけど
そうであれば,そもそも配当が出せない「異時廃止」事案だ。
そして……競売になったということは
破産管財人が財団放棄したってことでしょ。
破産管財人が任意売却試みて
「抵当権者にも(おそらくは競売するよりも有利な)お金を渡して抵当権を消す。
その際破産財団にも幾分か入れてもらう。」
ってことで破産財団を増やすことを考えるから
競売に行ったってことは前提は財団放棄したってことで
任意売却が失敗したってことなわけだ。
競売の性質は基本は「承継取得」ではなく「原始取得」と考えられている。
一般に賃借人のいる物件の売買は
単純な物件の所有権のみの売買ではなく
物件に付随した契約関係も込みでの売買だと解されるから
敷金返還義務についても新所有者に承継されるって理屈なんで
競売には適用されない。
競売の場合,新所有者に敷金返還義務は全くないわけだ。
そうなると旧所有者に請求するのであるが……。
破産しているんでしょ?
敷金返還請求権ってどう考えても破産債権だよね。
破産債権を破産手続進行中に破産手続外で回収しようとしたってそりゃあ無理じゃん。
破産者である旧所有権者には
「一部の債権者に有利・不利となる弁済を行った場合,免責不許可事由となる」って制裁があるから
絶対に弁済しないよね。
裁判で回収しようと思っても裁判は自動的に止まるし
強制執行だってできなくなる。
(まあ敷金に抵当権はつけないだろう……。)
破産手続が終わっていれば免責許可決定が早晩出るだろうし,
免責許可決定が出ればもう裁判で請求されることはあり得ないんだから
そんなのは払わないよね。
……てえかそんなのを払わなくてもいいようにするために免責を求めるんだし
免責を求めるためには破産が要件だから仕方なく破産するんで。
しかも任意に払えば弁済自体は有効なんで非債弁済にならず債務がその分消滅するけど
下手打てば免責取消事由になるからなあ……。
だいたい責任のない債務の弁済を求めることが訴訟ではもはやできない以上
法的にできない請求をそれでも……ってえのがいかがなものか……なんだよなあ。
佐々木将人:
2011年10月7日 0時07分:
Q&A:
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(0)
「通貨偽造罪においても、偽札を偽札鑑定業者に鑑定能力の確認のため渡すこともあって、そのような、行使に当たらない用途の場面で「それは偽造通貨か否かを言っても始まらない。行使に当たる用途の場合にそれが偽造通貨か否かが構成要件として意味を持つ。」
……?
う~ん。法解釈論なのかしらん……。
刑法148条は
「行使の目的で
通用する貨幣,紙幣又は銀行券を
偽造し(中略)た者は
無期又は3年以上の懲役に処する。」
とあるんで
※一部方面ではあえて中略した所に例の話を思い浮かべてにやけているんだろうけど
本論ではないのでここでは省略(笑)
これの構成要件としては
1 通用する貨幣・紙幣・銀行券を偽造すること
に加えて
2 その偽造行為が行使の目的であること
が要求されるわけだ。
で,この構成要件は1と2がand条件ね。
(ちなみに1の中の貨幣,紙幣,銀行券はor条件,その全体と「通用する」がand条件)
犯罪成立要件は「構成要件該当性」「違法性」「責任」の順に検討し
構成要件該当性が否定されれば
違法性や責任については検討しないで犯罪不成立としちゃってよい。
同様に構成要件該当性の審査の時に
and条件であれば
1つでも否定されれば全体が否定されるんだから
とりあえず1つ否定できれば
残りは「検討しないで」犯罪不成立としちゃってよい。
で,実際,偽札鑑定業者に鑑定能力確認のために渡すために通貨っぽいものを偽造する行為は犯罪不成立なのだが
これはもっぱら「行使の目的」がないことによるわけさ。
この場合にもしかしたら
「それが通用する貨幣・紙幣・銀行券にあたるか否かにかかわらず
行使の目的がない以上
およそ通貨偽造罪は成立しない」
と書いている文献はあるかもしれない。
しかしその文献を根拠に上記の主張をするのは
「え?」
と思っちゃう。
……なんで自ら迷路にはまりこんでいくかなあ……。
通用する貨幣・紙幣・銀行券にあたらなければ
行使の目的の有無にかかわらず
通貨偽造罪は成立しないわけだが
そのことをもって
「偽造通貨に当たらない場面でそれが行使の目的なのか否かを言っても始まらない。偽造通貨に当たる場合に行使にあたるか否かが構成要件として意味を持つ。」
って言っちゃうのはね……「え?」だよね。
……じゃあ「構成要件として意味をもつ・もたない」の意味ってえか判断基準は何?
and条件で「構成要件該当性」「違法性」「責任」のように検討する順位が決まっているものならともかく
構成要件該当性の内部のand条件はたいてい順位なんてなくて
少なくとも通貨偽造罪の偽造通貨性と行使目的には順位がないのに
順位をつけることで
何か解釈上便利な点ってあるのかしらん。
「行使の目的の有無」と「偽造通貨か否か」という独立して検討できる問題をミックスして混乱する不利益以上に
利益な点が見当たらないのだ。
佐々木将人:
2011年9月20日 1時16分:
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参った……とも。
この本があるのに私が書くべきことなんかあるのか……と。
金井高志「民法でみる法律学習法」日本評論社
ロジカルシンキングという技法を使って民法を題材に法解釈学の基本中の基本をたたきこむ本。
法解釈学には論理が必要なんだけど
そこで必要とされる論理の正体をきれいに示している……。
まともに法律学を勉強しようと思う人は
ここに書いてあることはマスターした上
自分のものとして使えるようにならないとだめです。
……極論言っちゃうと法学部卒業の目標は
この本のマスターとこの本のとおりに実践できることと言ってもいいくらい……。
この本出ちゃった今
あたしの出番はどこにあるのだろう……(泣)
佐々木将人:
2011年9月5日 23時23分:
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前提としては
請求放棄も訴の取下も訴訟を終了させる効果がある点で共通する一方
請求放棄は
「自分の請求に理由がないことを認める」ことなので同じ訴訟を再度提起することができないのに対し
訴の取下は単にこれ以上の訴訟の進行を望まないということなので
同じ訴訟を再度提起することができるという違いがある。
なもんで請求放棄の場合には,相手である被告の同意は一切不要。
ところが訴の取下の場合は,多くの場合で被告の同意が必要ということになるわけ。
これを理解するためには「請求棄却判決が確定した場合の効力」をおさえておかないといけない。
たとえば「100万円支払え……との判決を求める」訴訟において
原告の請求を棄却する判決が出て確定したとしよう。
そうするとこの判決は「原告が言っていた100万円の請求権なるものは存在しないことを確認する」意味があり
同じ裁判は二度と起こせなくなるわけだ。
(とはいえ,通説判例は二度目を起こしても請求棄却判決を出すのが相当としているが
この点は本題ではないので省略。
またうるさく言えば訴訟物の特定だって必要だけどそれだって本題じゃないので省略。)
なもんで場合によっては被告でも「請求棄却判決をとっておく」メリットがある場合があるんで
被告が裁判におつきあいした場合(まあざっくりした表現だが)には訴取下に同意が必要であり
もし同意しなければ判決が出るまで裁判は続くことになるわけだ。
となると……
被告が裁判におつきあいしちゃった場合
それ以後にすぐにでも訴訟を終わらせたければ
(相手が訴の取下に同意してくれない限り)
請求放棄するしかないという話になる次第。
もっともこれが1審で請求棄却判決が出て控訴した場合には
請求放棄の他に「控訴の取下げ」という目もあり得る。
請求放棄との違いは結構細かい話になるんだけど
控訴の取下げによって1審判決が確定することになるんで
「原告が言っていた100万円の請求権なるものは存在しないことを確認する」
こととなり,
その基準点は一審の口頭弁論終結日となる。
一方請求放棄だと
「原告が言っていた100万円の請求権なるものは存在しないことを自ら認める」
こととなり,
その基準点は請求放棄の日となる。
基準点の違いはともかく,どんな内容について二度と裁判を起こせなくなるかと言えば
「原告が言っていた100万円の請求権」についての裁判である点は一緒なわけだ。
となると法的効果がほぼ一緒とは言える次第。
佐々木将人:
2011年8月31日 0時07分:
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ほぼ全文引用になってしまうけど
そうでもしないと伝わらないので,やむなく引用する。
「学校の勉強で刑法を行っているのですが、
以下の判例の意味がよくわかりません…
教えていただけたら嬉しいです。
刑法における財物取得罪の規定をもつて、人の財物に対する事実上の所持を保護しようとするものであつて、その所持者が法律上正当にこれを所持する権限を有するかどうかを問わず物の所持という事実上の状態それ自体が独立の法益として保護され、みだりに不正の手段によつて侵害することを許さないとする法意であると判示した趣旨。」
……これ判例じゃないやん。判例を手短に要約して紹介したもんじゃん。
それを「判例」と言っている時点で勉強が足りない。
こういう書き方をしているってことはおそらく判例を特定する事項
「判決年月日・裁判所名・「判決・決定・命令」の別」は書かれているはずなんだから
そこから当該判決の原文にあたらないと。
そしてその原文を見れば
たいていは事実関係や当事者(刑事だから検察官・弁護人)の主張もわかって
それと照らし合わせて裁判所の判断読めば
下手な要約読むよりよほどわかりやすいと思いますよ。
……それでもわからなければその判例を書いて質問するだろうし。
それやってないでQ&Aサイトに投げる時点で勉強が足りないの2。
ちなみにおそらくこれは昭和26年8月9日最高裁判決,最高裁判所判例集刑事51号p363で
法で所持を禁止されている物に対する窃盗罪の可否が問題となった事案で
それでも窃盗罪は成立するよって趣旨。
佐々木将人:
2011年6月30日 0時36分:
Q&A:
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石黒一憲「国際私法」有斐閣双書プリマシリーズ
最初に買った国際私法の本がこれで,大学生の時じゃなかったかな。
今も持っている……はず。
「はず」というのは,探しきれなくて……というか探すの面倒で
バイト先の図書室から借りてきたという……。
で,ひさしぶりに読むと新たな発見もあるもんで
「石黒先生気合い入っているなあ」って感じられたりとか
「実は通説の線じゃないやん。」とか。
ただ1つ言えるのは
有斐閣双書プリマシリーズの触れ込みは
「専門科目の難解な点と線もスムーズに理解できる初学者向きの新しいテキスト」
……この本初学者向きというとはずいぶん冒険したと思うよ。有斐閣。
んで,本題。
御存知の方は御存知のとおり裁判実務に近い場所でバイトしている私から見ると
「外国法が事実?そんなのありえないでしょ。」
という学者サイドの意見はきわめてごもっともだと思いつつ
「裁判やるとしたら大問題だよ」とは反論したくなる気持ちもあるわけさ。
というのは……外国法について日本にいてたどりつける文献というのはやはり限られるし
法の解釈って問題となっている条文だけわかればなんとかなるってものじゃないし
やはり法体系上どういう位置を占めていて……ということをおさえて
その上でようやく正しい解釈ができるものだから
その点について基礎的な訓練を受けていてかつ情報も豊富な(法廷地法たる)日本法ならともかく
基礎的な訓練は有効だけど情報が少ない外国法について
「事実」に分類して当事者の主張立証責任にかからしめ
もし主張立証が足りなければ負かすことにより
情報を補おうとするのは
これ自体は適切な方法論だと思うんだけどね~。
この点において「外国法は事実」説にすごい共感するのだ。
……一応国際私法は専門外なので,突っ込んだ議論はしないで書くけどね。
佐々木将人:
2011年6月30日 0時17分:
lnpp2:
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Q「被災地復興のため被災地だけで通用する地域通貨を発行したらどうだろうか」
……何人か答えているけどおおむね否定的で,質問者若干いらだち気味。
ただ……お金というものが当たり前すぎているけど実は当たり前じゃないんだよということを考えるには
とてもいいネタだと思ったので取り上げてみる。
……「当たり前のことが当たり前でないことを学ぶ」のは国際法の真骨頂だな。
さて……
いわゆるお金の根拠は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」。
ところがこの法律ではいわゆる通貨の強制通用力についての明文の規定はない。
とはいえ7条で「貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する。」という規定があり,
いわゆる硬貨(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律4条による貨幣)は
同一額面20枚まで強制通用力があると言えるし,
いわゆる紙幣(同法2条3項,日本銀行法46条1項による日本銀行券)については
日本銀行法46条2項で無制限に法貨として通用するという規定で強制通用力があることとなる。
強制通用力についてもう少し突っ込んで考えると
例えば物を売り買いして代金を支払う義務が発生したとするわな。
例えば「国際法からはじめよう」を2100円で買うことに本屋とある消費者が合意したとしよう。
その消費者には本と引き換えに2100円を支払う義務が発生する。
その消費者が2100円を支払う義務をはたすためには
2100円分の法貨を本屋に渡せばよいわけだ。
例えば1000円の日本銀行券2枚と100円の貨幣1枚を差し出す。
普通は強制通用力なんて意識しないから(偽札偽金と疑いでもしない限りは)普通受け取るだろうけど
そこで「これでは受け取れない」と断ることができるだろうかって議論をする。
答から書いちゃうと
「これでは受け取れない」と断ると
これは民法でいう受領遅滞となって
本屋の側にいろんな民法上もしくは商法上の責任が発生しちゃうのさ。
一方例えばおもちゃ屋で売っている「子供銀行」的なおもちゃのお金を差し出したって
これは当然貨幣でも日本銀行券でもないんだから法貨としては通用しない,
2100円を支払おうとしたとも評価されない(=弁済の提供がない)ことになる。
また100円の貨幣21枚を出した場合も同様。
法貨として通用するのは20倍までだから「2000円を支払おうとした」にすぎず
「100円不足しているから受け取れません」と断ってよい。
これが強制通用力の正体。
気をつけなければいけないのは,違反に対し刑罰を科すことで抑止しようってことではない点。
また当事者がいいと言えば20倍を超える貨幣を受け取ってもいいし
子供銀行的おもちゃのお金でもいいわけさ。
そのことだけで国家が介入するつもりはさらさらない……と。
ただし国家が介入してくる場合はいくつかある。
1つはいわゆる偽札偽金の類。
これは刑法148条の通貨偽造(変造)罪・偽造(変造)通貨行使罪で
無期懲役または3年以上20年以下の懲役という刑法の中では重い方の罪に問われるわけだ。
2つ目は偽札偽金とまでは言わないし,通貨として行使する目的のないもの
これは通貨及び証券模造取締法によって1か月以上3年以下の懲役もしくは1万円以上2万円以下の罰金となる。
そこで地域通貨だ。
地域通貨を「特定の地域でだけ使えるお金」くらいだという理解がある。
「特定の地域でしか使えないお金」ということ自体は間違いないんだけど
それだけでは地域通貨とは言わないんだよね。
地域通貨というのは常にいわゆる「街つくり」運動と直結している。
昔は人や物やお金の動きが今ほど広範囲じゃなかった。
その地域で働きその地域で収入を得てその地域で消費する。
お金のほとんどがその地域内で循環していたわけだ。
ところが経済の発展や広域移動が可能になったことにともない
その循環が行われなくなった。
働く場所と消費する場所が分離するようになると同時に
事業を行う側も地域とは切り離されて大都市に本拠をもつ会社が
収益だけあげて地域に還元しないなんてことが起こるようになる。
そのことで地域でお金が循環しなくなり
地方においてはお金が地方から流出する一方で
地方が疲弊していく……。
これを断ち切るために
その地域でしか使えない「何か」を発行し
それを循環させることで
その地域の経済を再生しようという試みの下に発行される「何か」が
「地域通貨」なわけだ。
ここまで書くと単純な「商品券」の類では語れないこともよくわかると思う。
商品券とは基本的には物やサービスの対価として支払に代えて使用されるもので
その部分だけ見ると地域通貨と変わらないんだけど
商品券を受け取った人は基本的には商品券発行者にその商品券を交付して通貨を受け取るんです。
その商品券を同じ地域内の別の人にお金として使うことは想定していないんです。
当然地域内での循環なんて考えてない。
地域振興券だとか定額給付金をあてこんだ商品券だとか
もしくは50円で1枚くれるスタンプだとかポイントサービスというのもこの類だね。
実を言うとシステムが崩壊した地域通貨の多くは
商品券と実質変わらないという共通点があるというのが私の認識。
さてこの地域通貨の法的性質を考えてみよう。
まず,たとえ特定地域に限定されるとしても,日本国内で通貨だとするためには
その根拠条文が必要になるから
現行法による限り通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律5条2項による記念貨幣
(いわゆる記念コインだ)だとして発行するか
日本銀行法47条1項によって新規の日本銀行券だとして発行しないといけないことになる。
(ちなみに記念紙幣に相当する規定はない。2000円札は記念紙幣ではない。)
そして特定地域に限定される法貨なんて概念は従前は存在しない以上
その概念を表す規定を別途作らなければならず……。
まあ大変だわな。
そうすると「地域通貨は法的には通貨ではない」という線で行くしかない。
仮に失敗承知で商品券だとしてとらえれば
資金決済に関する法律3条1項の「前払式支払手段」に該当しちゃうんで
まあいろんな法規制がかかってしまうわけだ。
なにせ法整備ができる前は
「とりあえず資金集めて結局破綻して痛い目見るのは消費者」ってことが結構あったから
やはりうるさいことは言わざるを得ない。
特に大事なのは「発行残高の何%かは担保として積んでおけ」という点。
ちなみに余談だけど最近多くの商品券が一定期間の後無効になっているんだけど
これは発行会社の方で担保として積んでおかなければならず
仮に死蔵されてしまうと資金がその分固定されてしまって
身動きがとれなくなってしまっていたため
発行会社を清算してしまう代わりに無効にすることを許そうってことにしたことから。
「券を発行して使われなかったらまる得じゃん」
なんて簡単な話ではないことに要注意。
で,商品券ではなく,本来の地域通貨だとすれば……
これは結構危ない線だったりする。
というのは「紙幣類似証券取締法」という法律があって
通貨的な作用をする紙については財務大臣が発行と流通を禁止でき
その後の違反については1か月以上1年以下の懲役か1万円以上2万円以下の罰金となる。
アメリカあたりだと
「何かに価値をつけること,その価値を表現することは,憲法の保障した自由であり,
地域通貨を処罰の対象にすることは表現の自由の侵害になる」
なんて理論が対抗的に主張されているんだけど
さすがに日本ではそこまでラジカルなことを言うのは少数派で
「この地域通貨はこういう規定にはこの点で該当しないものですよ」
というあたりを狙ってやっている次第。
たいていは一種の会員組織的に合意を得た人・組織だけでやることにしている。
地域通貨をめぐる法律的な状況ってざっとこんな話なんだよね。
で,以下は余談。
私個人はもともと質問者が言っているものを「地域通貨」と称することには
すごい疑問をもっているのさ。
というのは上で述べたとおり地域通貨は
「地域経済のために地域内で循環する」ことが大前提となっているし
この大前提が崩れたものはたいてい制度自体崩壊していると言っていい。
ところが質問者はむしろその地域通貨を
地域外の人が持つことを想定しているし
しかも使われなければいわゆる発行差益を被災地のために使えるとしているわけ。
これは地域通貨と言ってはいけないし
地域通貨のために奔走している人が「誤解だ!」って声あげるレベルだと思うなあ。
……怒る人がいても不思議じゃない。
あと,これは他の回答者が指摘しているとおり
コストパーフォーマンスが悪すぎ。
地域通貨を作成するコストがかかるわけだけど
このコストには偽造防止技術が必要なわけで
これはコストアップ要因。
ことに通貨や流通性の高い証券について言うと
額面との発行差額が大きいことで
偽造物の作成コストに万が一処罰された時のコストを加えてもなお
リターンが大きいって場合が出てくるし
これに「流通性が高いほどリターンも大きい」ってことを加えると
「額面が少額だから大丈夫」なんてことはとても言えないわけ。
(アメリカドルは偽札が多いけど,もし1ドル札の偽造が一番多ければ,
流通性が高いほどリターンも大きいことの傍証になる。)
偽造されないのは額面より素材の価値の方が大きい
地金型金貨(たとえばメイプルリーフ金貨とかウィーン金貨。額面より金としての価値の方が格段に大きい。)くらいなもの。
いったいに硬貨はコストが大きい一方で額面が小さいから偽造されにくい方だけど
それでも韓国の硬貨に細工して自動販売機に500円玉と思わせる手法が行われ
結局500円硬貨の材質変更にいたったという事件があったくらい。
事件といえば天皇在位60年記念金貨(金20g)も事件
発行前は人気が高くて抽選にしたんだけど
いざ発行してみるとうってかわって大量の引き換え残が発生してしまい
あわてて発行枚数を大幅に絞ったんだけど
コイン商が売れる見込みがないと買い取りを拒否したなんてことも起き
「発行差益(おおざっぱに言えば金価格が1g5000円でとんとん,それより安ければその分利益)
あわよくば死蔵されることで10万円まるごど臨時収入を」
なんて目論んだ大蔵省のあてが外れた上に
大量の偽造コインが発生してしまったってこともありました。
……四半世紀たった今でも相場としては買取価格は額面どおり。
それに強制通用力を実効ならしめるために
紙幣や硬貨のデザイン変更や新規発行に際しては
「これはお金ですよ」
って大々的な宣伝活動が行われ
周知徹底が図られる。
これもコスト。
そして怖いのがやはりインフレ。
通貨の発行量が増大するわけだから慎重にならざるを得ない。
政府紙幣の発行や国債の日本銀行引受による通貨流通量の増大・財源の確保を主張する向きもあるけど
それを主張する人だって
インフレになんてならないから安心してなんて言う人はまずいない。
きちんと管理しなければ大変なことになるという点では異論はまずないのです。
これは過去の歴史から経済学を通じて学んだことだよね。
単純に考えたって「物」に対して「通貨」が増加すれば,当然通貨の価値は下がるわけで,
同じ物を入手するより多い通貨を用意しなければならなくなるのは理の当然。
でも今にしてみれば小学生・中学生でもわかることを
過去の人は実行して
そしてある意味必然的に貨幣価値の低下→インフレを引き起こしている。
日本だと江戸時代の小判の改鋳(金含有量を少なくし発行枚数を増やした)がそうだし
迷惑をかけた側としては占領地における軍票の発行もそう。
世界に目を向けると……(以下略)
だからこそ「金本位制」→金との交換を無条件に認めることで保有する金以上の通貨の発行を抑止する制度が生まれるわけで……。
なんてつらつら考えると
「利益が全部被災地のために使われる商品を開発して売る」ってことじゃなぜだめなんだろう……って思うのさ。
どうして「地域通貨」みたいな属性をつけるかな?って。
「あれもこれも」と欲張ると結局どちらも得られないって
なんか教訓めいた話になってしまうのでした。
佐々木将人:
2011年4月12日 23時23分:
Q&A:
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(0)
もう日本では忘れられている話だと思うんだけど……。
話は6年前にさかのぼる。
google社がアメリカの大学図書館と組んで書籍の電子化をはじめたことに対し
(法的に言えば著作権者の許諾が不要なfair useに基づくものだという主張の模様)
アメリカの作家組合が著作権侵害を理由として差止訴訟を起こした。
その訴訟で当事者間に和解が成立しそうになったんだけど
その和解案で,ある意味世界中が騒然となったのだ。
というのはこの訴訟がclass actionとして提起されたため
仮に和解が成立すると訴訟に直接参加した者だけではなく
アメリカで著作権が認められる全ての者にその和解の拘束力が及ぶことになる訳だ。
でもそれだけじゃあなんで世界中が?ってことになるだろう。
(実際,class actionのシステムがない国が圧倒的に多いはずで
その場合「参加していないのにいつのまにか拘束される」ってこと自体ピンと来ない。)
ところがネタが著作権であることが問題を世界レベルに引き上げた。
いわゆるベルヌ条約
(正式名称が寿限無的なので,ネタとして提供しておこう。
「1886年9月9日に署名され、1896年5月4日にパリで補足され、1908年11月13日にベルリンで改正され、1928年6月2日にローマで改正され及び1948年6月26日にブラッセルで改正された文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」
……ちなみに日本における公布文は当時縦書きだから年月日の表記は漢数字になっている。)
は,
・著作権の発生に要式は要求されない
・加盟国の1国で著作権が発生すると他の全ての国でも著作権の効力が発生する
と定めているわけ。
そして国内的には著作権の発生に要式を要求しているアメリカも最終的にはこの条約に参加しちゃったから……。
「ベルヌ条約加盟国で著作権が発生している場合,その著作権はアメリカでも保護される結果,
上記class actionによる訴訟の和解の効果がベルヌ条約加盟国において著作権が認められる者全てにおよぶ」
ことになったわけ。
そして問題の和解の内容が
「グーグルによる電子化を認めるかわりにグーグルからお金を支払うか
和解に参加した上でグーグルによる電子化を拒否する」
という話だったので
日本でも騒然としたんですよ。一時期。
……そりゃあそうだよな~。
「電子化を拒否したければ和解に参加した上で電子化を拒否しないといけない」内容なんだもの……。
結局この和解案は
「アメリカで著作権の登録をした者及び4か国での著作物に限る」
ということになって,対象から離れた日本では,地味な話題になって収束したのですが……。
つい先日ニューヨークの連邦地方裁判所がこの和解の承認を拒否したそうです。
原文読めてないんで毎日.jpの報道によるなら
「権利者が反対しない限り電子化して利用できるのではなく
権利者が同意した場合に限り電子化して利用できるとすべきである」
というのが裁判所の判断のようで
決着はまだまだ先の話なのですが……。
一方で著作権のうちの一部の権利は著作者が死亡した後一定期間で消滅し
自由に利用できるんですね。
日本でも青空文庫のように保護が切れた作品を電子化している例があるんですし
文化の保護を全面に打ち出すならなぜそれまで待てないのか……と思います。
そうなると文化の保護というより,むしろそこに収益を求めたものなのだし
それなら収益に関する権利者の許諾取りなさいよというのは
至極まっとうな発想だと思うんですね。
決着がまだ先だから評価もしちゃいけないところなんだろうけど
「商業的な利益を得るんであれば
商業的な利益を得る権利のある者の許諾をきちんととるべきで
その許諾なしに行ってはいけない」
という点が維持されるのであれば,
「裁判所は正しい判断をした」って評価していいと思います。
個人的には
「商業的な利益のためにfair use持ち出して正当化するなよな~!」
とも思っているけどね。
佐々木将人:
2011年3月31日 23時20分:
未分類:
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(2)
Q 先物取引で多額の損失を出してしまいました。破産管財人の質問はかなりきびしいと聞いたことがあるのですが、どんなことを主に聞かれるのでしょうか?不安でたまりません。
A 破産管財人はあなたの弁護士です。厳しくありません。
……こういう答が「ベストアンサー」になるんだからなあ……。
レフェリーがいないととんでもないことになるよなあ……。
というか,わからないから質問しているのに,その人に答のよしあしを判断させる点で終わっている……。
ちなみに……
破産管財人は裁判所が選任するのであって
破産者の代理人(弁護士)ではありません。
……てえか普通は申立代理人には破産管財人やらせないぞ……。
東京地裁のいわゆる少額管財でもそこまで踏み込んではいないんじゃないかなあ。
そもそも破産者(破産申立人)に財産がなければ「破産開始決定・同時廃止決定」のパターンだから
破産管財人は選任されません。
そして本当に先物取引による借金かどうかは裁判官にも破産管財人にもしっかり聞かれるとは思うけど
本当だとわかればそれ以上は追及されないと思う。
だって破産法252条1項4号の
「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと」
には先物取引は該当すると言われているんで
(この条項は投機ではない株式の現実売買に該当があるかどうかで争いはあるところだけど。)
うだうだ問い詰めるくらいなら免責を不許可にすれば足りるから。
佐々木将人:
2011年3月21日 22時27分:
Q&A:
comment
(0)
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