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自称・不定・不詳

逮捕状には「この人を逮捕していいよ」ということで
その人を特定する事項を書くんだけど
これが通常では
「住所」「氏名」「年齢・生年月日」「職業」
となっている。
このうち住所・氏名・年齢・生年月日については
市町村役場から戸籍附票を取り寄せたり
電話で照会してその回答を書面化したものを用意して
逮捕状を請求する際に添付することになっている。
ちなみにこれらを用意することもできないけど
逮捕の必要がある場合にどうなるのかという問題があるんだけど
今回の話ではとりあえず本題ではないのでとりあえず棚上げ。

ところがだ。
職業……ってどうする?
これが勤め人なら勤務先に確認をとって
それを書面化すればいいとは言えそう。
(もっとも急ぎの時にどうするかって問題は残るけど,とりあえず棚上げ。)
経営者だって社員がいるような場合ならまだなんとかなる余地がある。

だけどだ。
自営業で社員がいないような場合
どうやって確認します?

とりあえず何か書かないといかんとなれば
「不詳」と書いてしのぐか
「自称(本人の申し出た職業)」と書くしかないわな。
裏付けがとれてないということを書かなきゃいけない。
言い換えれば裏付けがすでにとれている場合の書き方と区別しなければいけない。
「自分で言っていることをとりあえず使いましたよ」
という意味の言葉として「自称」という語を使うのは
それほど悪い選択ではないような気がするにゃあ。

と,ここまで書けば,あの話かな?って気づいた人もいるだろう。
そう,あの話だ。

マスコミはたぶん警察発表のとおりに書く。
警察はたぶん令状請求と同じように発表する。
そうすると警察が職業を「自称○○」と言っているってことは
「職業○○について被疑者はそう言っているけど警察ではまだ裏付けがとれていない。」
ことを示している以上のものでも以下のものでもないわけだ。

マスコミが職業について「自称○○」とすること自体が
ある種の偏見に基づくもので暴力的であるという主張を
否定するつもりは全くない。
でも……
「自称」とつけなければ「職業」を報道してもいい
(もしくは報道するべきだ)
とする意見には
もともと賛成できないんだよな~。

だって……無罪推定の原則が刑事訴訟の大原則だよ。
有罪判決が確定するまでは「有罪ではない」として扱わなきゃいけないわけだ。
そういう人を有罪判決確定前である逮捕時点で
氏名・住所はおろか職業まで報道しちゃうってことに
そもそも疑問を持たないのかえ?
……逮捕で一件落着だと思っている人が特に多そうな日本においては,なおのこと。
「自称をつけるのがよくない」
という主張は,
判決前の犯罪報道に実名等を出してしまうという問題点から見れば
実に些末のものにすぎないと思うのよ。
……なんかバランス悪いな~って思う次第。


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