横領の被害総額
例によって金曜日は隗で餃子食って茶を飲むわけだけど……。
隗のマスターと話をしていて……。
横領事件におけるマスコミの流す被害総額って
その計算方法が意外に知られていないな~と思って
ここでご紹介。
たとえば金庫の中に1000万円入っていたとする。
本当はこれには一切手をつけちゃいけない状態だったとするわな。
=適正な扱いだと出入りが一切ないと仮定する。
この金庫の中の現金について出し入れの権限のあった犯人が
ある時ちょっと手持ちのお金が足りなくなって100万円を持ち出したとする。
さすがに悪いと思うから数日後にはきちんと100万円を埋め合わせしておく。
これを12回繰り返したとしよう。
金庫の中には相変わらず1000万円が入っている。
だけどこの場合の被害総額は100万円×12回の1200万円だからね!
要は被害総額というのは,被害者の実損額ではないからなのだ。
そうしてこんなことになるかといえば……。
おそらくは報道機関はこの時点では警察発表によって報道していると思っていい。
被害者も実は原因がはっきりつかめていないことが多いからだ。
で,警察や検察という捜査機関は
横領事件をどのように考えるかというと(実は諸説あるんだけど,まあざっくり言えば)
「他人の財産をあたかも自分の財産であるかのように使う行為」
が横領罪と考えて
かつ,実際に使った時点で犯罪は成立していると考えるわけさ。
たとえば最初の1回目
100万円に手をつけた時点で横領罪は成立だ。
ここで横領罪が成立するってことは
あとで100万円を埋め合わせようと被害弁償しようと
犯罪が不成立になるって訳ではないのさ。
(細かいことを言うと多少の例外はあるけど
まあ素人は無視していいレベルの話。)
そうすると後で返したとしても「100万円の横領罪は既に成立」なのさ。
それを単純に犯行回数重ねたのが被害総額という話。
もっとも捜査機関は
あとで裁判になった時に立証ができるものだけを発表することもあるので
立証できなくて起訴にいたらないものについてはカウントされていない可能性は当然ある。
だけれどもそうなるといよいよ
「報道されている被害総額が,被害者の実損額とは一致しない」
可能性が高まるし
「1回横領してそれで逃げる人」
より
「繰り返し横領した点では悪質なんだけど
悪いと思って返してまた手をつけて……という人」
の方が
マスコミ報道の被害総額が大きくなる傾向にあることは
知っていても損はないと思った次第。
佐々木将人: 2013年11月9日 21時38分: 未分類: comment (0)