エレガントな解を求む?
いや,大学への数学の話じゃなくてね……。
とりあえず仮に民法709条をとりあげる。
民法709条については,私の知る限り,最高裁で違憲だとか合憲だとか直接言及した判決はなされていない。
しかし,不法行為のど基本中の基本の条文だから
民法709条を根拠にする金銭支払請求を認める内容の判決はばんばん出ているし
要件を満たしていないとして請求を否定する内容の判決もまたばんばん出ている。
そんな状況でだ……。
私が「民法709条については違憲ではないって判断が最高裁でされている。」と言ったとしよう。
これに
「最高裁で違憲だとか合憲だとか直接言及した判決はなされていない」
ことに着目して
「違憲か合憲かわからない」だとか「違憲か合憲かは五分五分だ」とか反論する人がいたら
どうする?
いや,どうするかというのは実は本論ではない。
もし私の教え子なら「ちょっとそこに座りなさい」から小一時間説教のフルコースだし
私の知らない人でその面前でなければ
「あんた,馬鹿ぁ~?」くらいは言っている。
ちなみに上記反論が全く的外れだということは
ちょっと法解釈学をやった人なら当然わかってなければならない話だし
おそらくはもう直感で判断できるレベルの基本の話なわけだ。
でもまあ直感で終わらせるのも芸がないんで
普通に説明することにする。
で,数ある理由付けの中でどの理由付けが一番「エレガント」かな……というのを考えてみたのさ。
やはり……
憲法98条1項の「その条規に反する法律……は,その効力を有しない」から
仮に民法709条が憲法に違反するならば,
民法709条は効力を有しない以上
民法709条を根拠とする金銭支払請求は最高裁においてことごとく否定されるはずである。
しかし,実際には,民法709条に基づく金銭支払請求が
同条の要件を満たすものについて最高裁において認められている以上
最高裁は民法709条が憲法に違反していないと判断していると言える。
……というのが一番エレガントかなあと思うのさ。
佐々木将人: 2013年3月7日 22時14分: 未分類: comment (0)