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国家承認の義務

ずいぶん昔の本になるけど
有斐閣選書の「ワークブック国際法」
第10問の「国家承認の方式と効果」の項の解説は松田幹夫先生の手によるんだけど……。
「多数国間条約の締結も,黙示的承認を意味しない。」
うんうん。
「その場合,特定の当事国について,承認の留保を表明することが可能である。」
まあ,これも間違いない。
「「これは承認を意味しない」との意思をA国は表明しなかったから,この時点でA国は……黙示的に承認したものとみられる」
え?

もしかしたら松田先生は
「一般論としては多数国間条約の手行ける自体は黙示的承認を意味しない」ものの
「あえて承認の留保を表明した国が出た場合or後は
 承認の留保を明示的に表明しない限り黙示的な承認を意味する」
ってことを言いたいのかもしれないけど……。

それにしたって
「明示的な承認の留保を行うとその効果として他の国に黙示的承認が推定される」
というのは
「明示的な承認の留保」という一方的行為に第三国への拘束力を認めるもので
一般論としてやばいんじゃないだろうか……。

もしかしたらこの本の出版の当時は
「承認義務を認める方向での創設的効果説」が日本の学界の通説だったので
その線に立つとできるだけ承認させる方向に解するという筋の話かもしれないけど……。

う~む。
……やはしあたし「国際法からはじめよう」で書いたとおり
  法的問題ではないって線で押すのがいよいよ妥当じゃないかって気がしてきた。

(2012年8月20日 23時30分)


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