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議論の実益

今,lnpp2は国籍の項目を書いていて
もう原稿用紙20枚くらいになっているんだけど
法の支配とは違って
まだ国際法の本って感じはしますわな。

で,その関連で,木棚照一「逐条註解国籍法」日本加除出版(2003)を読んでいるんだけど……。

ちょっと疑問に思った点を2つほど。

その1
国籍の性質について「法律関係」「法的地位」「折衷説」という議論をすることで
国際法的にどんな違いが出てくるんだろうか……と。
国籍法の議論としては,国籍の性質を論じることは非常に重要なんだけど
そこ以外に議論の実益があるのかえ?って感じがしてならないのさ。

その2
国籍を法律関係と見る説の説明として封建制度を前提にした領主と領民の関係からはじめているんだけど(p4)
この本の別のところで論じているとおり領主と領民の関係というなら
封建制度を前提にする限り領主は領土と領民をあたかも私有財産であるかのように扱えたわけで
領民の側には領主の下を離れる法的な権利は存在していなかった以上
これはむしろ「法的地位」としか説明のしようがないんじゃないか,
法律関係と評価できるのはむしろ「国王と領主」「領主と騎士」の関係ではないか。
こちらは相互に関係を結び止めることができたので
こちらこそ法律関係なのではないか。

まあlnpp2に反映させる必要のない話ではあるんだけど……ね。

ちなみにこの本は国籍法学界の通説である
「一般的国籍と機能的国籍」の概念を利用して
ノッテボーム事件を解析しているんだけど
私は例によって
多元説に基づく調整原理の1つである
「内部事項は外部に対抗できない」
で処理できる話だと思っているので
そのようにlnpp2でも書いています。

(2011年6月24日 22時35分)


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