まず海事代理士がどんな仕事をしているかについては、何か参考書を読むなり、海事代理士の方が開いているホームページを見てくださいませ。
なにせあたしは海事代理士ではないから……。実感をもって語ることができませんわな。
海事代理士試験は筆記試験と口述試験に分かれます。
筆記試験の科目は次のとおり。
で、実際のところ筆記試験の合格点って何点なんでしょうね?
ここでは60%正解で合格するってシミュレーションをしてみましょうか?
そうするとこんなことが言えたりするのです。
「海事法令の11科目で8割正解だと一般法律常識が全滅でも120点になるから合格。
仮に70%133点が合格点だとしたって一般法律常識が4割だと136点で合格。」
ここだけ読むと「8割正解なんて無理だ」なんて思われるかもしれません。
……でもそこが落とし穴だと思うんですよ。
ここで平成13年試験を例に検討してみます。
筆記試験のパターンを分類すると、
A1……文中の空欄を別途示された語群から選んで埋めさせるもの
A2……文中の空欄にあてはまる言葉を書かせるもの
B……正誤問題
C……選択問題
D……言葉や問題文を説明させるもの
になるのですが、A1やA2って海事代理士試験の場合、法令に使用されている用語がまんま出題されています。これは何を示しているかと言えば、「法令の当該条文を暗記していれば勝ち、暗記できていなければ負け。」という単純明快な原理の採用を意味しているのです。B、Cだって条文そのまんまではないにせよ、さりとてそんな法的論理の展開を要求している訳じゃありません。大事な概念を覚えていて、その記憶と逢っているかどうかで決まってしまう。
具体的に言いますと……
このように海事代理士試験の筆記試験は、法律についての試験ではあるのですが、大学法学部における法律学の試験とは性格が全く異なるのです。むしろ法律分野についてのクイズ番組(昔の「カルトQ」がある意味一番近いかもしれない……。)で予選を突破して本戦に出場することに似ているのです。(別に本戦で優勝しなくてもいい。)
実際、それなりの法令集を持ち込めば、原理的には正解が書ける試験な訳でして……。
だとすれば必要な条文は丸暗記して、過去の問題で丸暗記したことを再現する、そのトレーニングをきちんとやれば、合格できるし、いくら勉強してもこのトレーニングを怠れば合格できないということになるのだと思うのです。
でも個人的な感想を言わせてもらえば、暗記に頼った試験に合格したことで、「法律学がわかった」とは言ってほしくないなあ……。
法律学って、知識量で勝負する学問ではないからね〜。実際司法試験の論文式試験は六法貸与だということ、大学法学部の法律学の各科目の試験はたいてい六法持ち込み可、時にノート持ち込み可、場合によってはなんでも持ち込み可すらある(当然試験は資料を持ち込んでそれを写せば終わりなんて問題なんかでない訳です。)ってことは、記憶にとどめておいてほしいなあ……と個人的には思っているのです。
もっともそこはよくしたもので、実際に開業するとなれば、試験のための丸暗記だけで飯が食える訳ではないし、よほど勉強が必要になります。そして「ある事項を知っているかどうかが大事なのではなく、どこそこをどう調べてこう手配すればうまくいくということを知っていることこそが大事なのである」って気付いてもらえるんで……そう心配することもないのかな……。
だからあたしって丸暗記・棒暗記ものって苦手なんだってば〜。いい方法あったら教えてくれ……。
ちなみに今回私がとった方策は、時間がなかったこともあって、
ちなみにここまで読んできた人はある程度想像つくと思うんですが、私、ある問題集が正解を載せないのは不親切ここに極まれりと評価している立場です。大事なのは暗記なんですよ。だから正確な答を覚えさせるのが最大目標のはず。そこを自分で調べなきゃいけないのは、覚える前までの余計な作業を要求する点で最大の誤りだし、何が正解かについての自信が持てないという点でも問題だと思っています。
同様に試験用のノートを作るのも、どちらかと言えば反対。そんなものを作る間に1つでも条文覚えた方がいいんです。ノートは海事代理士試験の場合「覚えるための道具」という割り切りが絶対に必要で、そこを勘違いしていると、「立派なノートを作っているのになぜか受からない」ってことを不思議に思っちゃう……。ノートは記憶のための道具なんで、記憶に役立たないノートはいくら労力をかけても無用の長物だと考えています。
……などと過激なことを書いてきましたが、それでもなぜ堂々と「私自身は今回は落ちた」と言えるのか?
その理由は「合格点がわからない」ということにもあるのですが、その最大の理由は、「暗記という名のトレーニングが全然足りてない」ことにあります。だから「暗記をきちんと仕上げておけば」来年は受かるだろうね……というオチだったのです。
そうなるともう私がここから先で書くことについて、なぜ書いたかを想像できるかもしれません。
私は丸暗記・棒暗記が苦手だから、いかにして理解しようとしたか、理解することで暗記の助けにしようとしたか、その思考過程を明らかにすることが、私と同じく暗記物を苦手にしている人の、なんらかの助けになるのではと考えたからなんです。
……だから暗記のできる人は、こんなの読んでいる間に暗記しちゃいなさい!って。